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- 2023/08/21 掲載
チェンソーマン・エルピス・オールナイトニッポン…なぜヒット?制作で最重視すること
ドラマ『エルピス』はどう生まれた? 立ち上げ秘話
テレビ・漫画・音声コンテンツに携わる業界のトップランナーが一堂に会した本セッション。まずは「ヒットコンテンツの生み出し方」をテーマに、三者の直近のプロジェクトの立ち上げ秘話が語られた。佐野亜裕美氏は、『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』など、既存のスタイルにとらわれない新しいドラマを生み出してきたプロデューサーだ。2022年10月期に放送された『エルピス─希望、あるいは災い─』では脚本家・渡辺あや氏と組んで冤罪事件を取り上げ、2023年芸術選奨文部科学大臣新人賞(放送部門)を受賞している。
巷では「6年越しの企画だった『エルピス』を制作するために、TBSを退社した」というエピソードも話題となっていた佐野氏。「実際のストーリーラインは少し違う」としながら、当時の状況を振り返った。
「最初は渡辺さんとラブコメを作ろうとしたのですが、どうも盛り上がらず、6年間にわたって対話し続ける中で生まれてきた企画が『エルピス』でした。ところが、なかなか社内で企画が通りませんでした。そうこうしているうちに部署異動が決まり、内示が出た日から1年2カ月ほど休職していました。その間にカンテレが『エルピス』に興味を持ってくれたので、だったら行ってみようと関西テレビに移籍しました」(佐野氏)
『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』編集者が語るエネルギーが生まれる瞬間
佐野氏の話を聞いて「自分もちょっと似ているかも」と驚いた様子を見せたのは、漫画編集者の林士平氏だ。『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』などの話題作を次々と世に送り出し、敏腕編集者として名をはせる林氏。月刊漫画雑誌である「ジャンプSQ.」からマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」に異動願いを出したことが『チェンソーマン』立ち上げのきっかけだったという。
「もしかしたら、人が生きる場所や考え方を変える瞬間に、何か面白いエネルギーが生まれるのかもしれませんね。『チェンソーマン』作者の藤本タツキさんは『少年ジャンプ+』でデビューされていたのですが、僕が異動すれば編集部のルールで『週間少年ジャンプ』にも企画を出せるようになるから、一緒にやってみようと挑戦しました。『今の時代における“主人公”とは?』という議論を1年くらい繰り返して、何度も第1話を作り直しました」(林氏) 【次ページ】日本一有名なラジオ『ANN』敏腕Pの企画設計の思考回路
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