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- 2014/04/22 掲載
ジョブズとベゾスの成功に共通する「権力」の使い方、仕事は権限か理解・納得か
連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意
やりたいことのために圧倒的な権力を利用する
アップルが「iMac」の開発を進めていた時、デザイン部門の責任者ジョナサン・アイブがつくり上げたのは、鮮やかな色の筐体のCRTディスプレイ一体型コンピュータだった。
ところが、製造を担当するエンジニアの所に持っていくと、「これは無理だ」という38個もの反対理由が挙がってきた。
このこと自体はどこの会社でもよくあることだが、違っていたのはそこにスティーブ・ジョブズがいたことだ。ジョブズはエンジニアに「いやいや、これをつくるんだよ」と言ったが、それでもエンジニアは「なぜです?」と異を唱えようとした。ジョブズの答えは明快だった。
「CEOの私が、これは可能だと思うからさ」
iMacはよく知られているように世界的大ヒット製品となった。
こちらも世界的大ヒット製品となった「Kindle」の開発を進めていた時、PCを経由しないで本をダウンロードする方式にベゾスはこだわった。その時、こう提案したと言われる。
「空港に行くんで、途中読む本が欲しい。車の中からこの機器を使ってダウンロードしたい。こういう状況を想定しているんだ」
エンジニアが「そんなことはできませんよ」と反論すると、ベゾスはこう言い返した。
「何ができるか、決めるのは僕だ」
それでも異を唱える相手にはこんなセリフさえ口にしている。
「この問題について君の口を閉じさせるには、この会社のCEOは僕だという証明書をどっかでもらってこないといかんのか?」
ここまで言われて反論できる人間はそうはいない。
やりたいことのためには圧倒的な権力を利用する。それはたしかにビジョンを実現するための最短距離ではある。しかし、日々の仕事の現場でこれほどの権力を持つことはそうは望めない。
【次ページ】仕事は権限か、それとも理解と納得か
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