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  • 2014/04/22 掲載

ジョブズとベゾスの成功に共通する「権力」の使い方、仕事は権限か理解・納得か

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

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1人で完結する仕事はほとんどない。人と人が関わり、人から人へと受け渡す中で完成へと近づいていく。それはトヨタ式も同様であり、たとえどれほど素晴らしい改善案を考えたとしても、それを「やってみよう」と言って協力してくれる人たちがいなければ実行にはつながらない。「こんないいアイデアなのにどうしてみんな協力してくれないのか?」という悩みを現場で抱えている人も多いのではないだろうか。

やりたいことのために圧倒的な権力を利用する

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iMac G3 500Mhz (2001) “Indigo”。当時、経営危機がささやかれていたアップル復活の象徴的な製品となった。
(Photo by Carl Berkeley

 人を動かすうえで「権力」は大いなる武器になる。

 アップルが「iMac」の開発を進めていた時、デザイン部門の責任者ジョナサン・アイブがつくり上げたのは、鮮やかな色の筐体のCRTディスプレイ一体型コンピュータだった。

 ところが、製造を担当するエンジニアの所に持っていくと、「これは無理だ」という38個もの反対理由が挙がってきた。

 このこと自体はどこの会社でもよくあることだが、違っていたのはそこにスティーブ・ジョブズがいたことだ。ジョブズはエンジニアに「いやいや、これをつくるんだよ」と言ったが、それでもエンジニアは「なぜです?」と異を唱えようとした。ジョブズの答えは明快だった。

「CEOの私が、これは可能だと思うからさ」

 iMacはよく知られているように世界的大ヒット製品となった。

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 似たような話がアマゾンにもある。

 こちらも世界的大ヒット製品となった「Kindle」の開発を進めていた時、PCを経由しないで本をダウンロードする方式にベゾスはこだわった。その時、こう提案したと言われる。

「空港に行くんで、途中読む本が欲しい。車の中からこの機器を使ってダウンロードしたい。こういう状況を想定しているんだ」

 エンジニアが「そんなことはできませんよ」と反論すると、ベゾスはこう言い返した。

「何ができるか、決めるのは僕だ」

 それでも異を唱える相手にはこんなセリフさえ口にしている。

「この問題について君の口を閉じさせるには、この会社のCEOは僕だという証明書をどっかでもらってこないといかんのか?」

 ここまで言われて反論できる人間はそうはいない。

 やりたいことのためには圧倒的な権力を利用する。それはたしかにビジョンを実現するための最短距離ではある。しかし、日々の仕事の現場でこれほどの権力を持つことはそうは望めない。

【次ページ】仕事は権限か、それとも理解と納得か
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