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- 2015/08/19 掲載
トヨタ式工場はなぜ床が白い? 過剰包装は「ゴミを買っている」のと同じだ
トヨタ生産方式の導入方法(2)5S後編
全員参画型の「清掃」は5Sのスタートとしてとてもいい
「清掃」の目的は床や壁、機械設備、治具工具、棚、キャビネットなど職場にあるものをすべてきれいにすることだが、ここで気を付けなければならないのは単にピカピカに磨いたり、ペンキを塗り替えればいいというものではないということだ。
もちろんピカピカに磨くことは否定しない。トヨタ式を実践しているある企業は清掃のスタートにあたり、工場や職場の壁や床をA2サイズに区切り、社長以下の全社員がそれぞれのブロックを受け持ち、汚れがなくなるまでピカピカに磨き上げている。
「割れ窓理論」ではないが、建物の中に汚れた場所や乱雑にものの置かれた場所が残っていると、人は汚すことを気にしなくなるが、東京ディズニーランドがそうであるようにゴミ一つ落ちていない状態が維持されているとゴミを捨てないばかりか、自分も「きれいにしなければ」という気持ちになるものだ。
その意味でも全員参画型の清掃は5Sのスタートとしてはとてもいいやり方だ。トヨタ式を実践しているある企業では、職場がきれいになったことで、働く人たちの気持ちが変わったのか、敷地内での車の運転がやさしくなり、花を植えたり、池をきれいにして魚を泳がせる人も出たばかりか、災害なども大幅に減ったというケースがあるほどだ。
大切なのは「修繕」ではなく「修理」
床や壁、機械などをピカピカに磨いたうえで、機械設備などに関しては「点検清掃」を徹底する。トヨタ式の基礎を築いた大野耐一氏が言っているように、機械は壊れるよりも壊すほうが多い。だからこそ日ごろから機械を使っている人が小さな異常や音の変化、匂いなどに神経を研ぎ澄まし、「何か変だなあ」と感じたら早目に修理を心がけることだ。ここで大切なのは「修繕」ではなく「修理」である。修繕というのは、故障した時に応急処置的に部品などを交換して動かすことだが、トヨタ式の「修理」は故障の真因を調べて二度と同じ故障をしないようにすることを指す。
機械で大切なのは「稼働率」ではなく、動かしたいときに動く「可動率」である。こうした日々の細やかな点検清掃と、修理の積み重ねが機械の可動率を高め、「稼ぐ力」を維持してくれる。
【次ページ】世界と戦える「つくる力」を手にするには?
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