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  • 2015/10/01 掲載

GEの変化を見れば、トヨタ式改善で何が大切かがよく分かる

トヨタ生産方式の導入方法(4)改善提案の風土づくり

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トヨタ式改善を実践するうえで欠くことができないのが、社員から上がってくる数多くの改善提案だ。それも一握りの社員からではダメで、現場で働くなるべくすべての社員からの改善提案があってこそトヨタ式改善は効果を発揮できる。しかし、一方には「思うように改善提案が集まらなくて」と嘆く企業も少なくない。どうすれば、数多くの改善提案が集まるのかが今回のテーマである。
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現場で働くなるべくすべての社員からの「改善提案」があってこそトヨタ式改善は効果を発揮できる
(Image:Dooder/Fotolia)

GEの変化を見れば、トヨタ式改善で何が大切かがよく分かる

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 「改善」は今や「KAIZEN」として世界共通語になっている。GE伝説のCEOジャック・ウェルチもトヨタの「学習する組織」にたくさんのことを学び、こんな言葉を口にしている。

「我々一人ひとりが、毎朝起きるたびにもっといい方法はないかと考えていれば、自然にうまくいくものだ」

 「2人の社員を管理し、指示した通りのことをさせているだけの管理者がいたら、その人をはずし、2人の社員を残すだろう。3人いれば、3つのアイデアが欲しいのだ」

 GEは発明王トーマス・エジソンに由来する会社だけに、アイデアを生み出し、何かをゼロからつくるのはGE自身、それもGEのエリート社員でなければならないという自前主義が強かったが、ウェルチはこうした文化を変え、アイデアを世界中に求め、GE社内で働くすべての社員に求めることで強い企業づくりに成功している。

 GEの工場で長年働いていた社員によると、ウェルチ以前のGEは社員の「腕」にお金を払っていたが、ウェルチ以後は「腕と頭」にお金を払うようになった、ということだ。

 こうしたGEの変化を見れば、トヨタ式改善において何が大切かがとてもよく分かる。アイデアを広く社員に求め、社員は日々「もっと良いやり方は?」「もっと安くつくるためには?」と考え続けること、それこそがトヨタ式改善の要諦と言える。

 とはいえ、普通の企業がトヨタのように年間数十万件の改善提案が出る企業に変わるのは簡単なことではない。そのためには何が必要か。ポイントは以下の通りである。

1.困りごとを「改善のヒント」と考えよ

 「改善提案を出せ」と指示すると、どうしても大きなこと、誰も考え付かなかったようなものを考えようとするが、そんなアイデアはなかなか思いつかないし、たとえ思いついても、案外実際の役に立たない場合が多い。

 だからといって、アイデアがないわけではない。問題は社員ではなく、企業側のアイデアを引き出す力の不足にある。だからこそ、トヨタ式は「人は困らなければ知恵が出ない」として、「社員を困らせるのも管理職の務め」と考えている。つまり、「困った」時にこそ人は知恵が出るわけだから、社員にはこう言えばいい。

「誰もがみな、一つや二つは困ったことや、直さなければならないと思うことを抱えているものです。『仕事が非常にやりにくい』とか、『大変疲れる』『危ない』とか、あるいは『誰が見てもおかしなやり方』と思うことがあります。また、『もっといい道具が世間にあるのに』と思うこともありますし、『この仕事は時間がかかりすぎる』と思うこともあります。このように感じた時、『我慢しよう』『仕方がない』と諦めてしまうと、困りごとは“愚痴”に変わりますが、『自分で何とか直したい』と考えれば、そこに“改善提案”が生まれます。大事になのは、解決策を自分で考えること、仲間や上司と一緒になって考えることです」

 困りごとを放っておく、あるいは上司が「慣れろ」「我慢しろ」と切り捨てると、愚痴や不満になるが、「どうすれば」と考えれば、改善提案になる。これがトヨタ式改善の基本的な考え方だ。いやなこと、困ったこと、不満こそが改善のヒントになる。

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