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  • 2018/11/30 掲載

銀行の決済システムでも検討、新たな「信頼のネットワーク」を生かせ

松岡功「ITキーワードの核心」:第4回

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本連載では、ITトレンドから毎回ホットなキーワードを取り上げ、その最新動向とともに筆者なりのインサイト(洞察)やメッセージをお伝えしたい。第4回目に取り上げるキーワードは、新たなビジネスの創出が期待される「ブロックチェーン」。今回のメッセージは「新たな信頼のネットワークを生かせ」である。
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自社イベントでスピーチする米IBMのジニー・ロメッティ会長・社長兼CEO
(筆者撮影)

企業にとってイノベーションを起こす大きなチャンス

 「ブロックチェーンはインターネットに匹敵するインパクトをもたらす技術だ」――。こう語るのは、米IBMのジニー・ロメッティ会長・社長兼CEO(最高経営責任者)だ。日本IBMが11月7日に都内ホテルで開いた経営者向けの自社イベント「Think Leadership」で、来日した同氏が自らの講演で述べたものである。

 さらにロメッティ氏は、「ブロックチェーンはネットワークに信頼と透明性をもたらせてくれる。利用が広がれば、さまざまな分野においてビジネス効果は絶大だ。IBMも今、世界中のお客さまとともに1000件以上の実証実験を進めている。企業にとってはイノベーションを起こす大きなチャンスだ」とも。ブロックチェーンにいかに注目しているかが、ひしひしと伝わってくるスピーチだった。

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 このロメッティ氏の発言とともに、「ブロックチェーン」を今回取り上げようと思ったホットな動きがもう1つあった。ブロックチェーンを活用した新たな銀行間決済の実証実験が実施されるという発表である。

 一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」を利用した資金決済システムを対象に、ブロックチェーン活用の可能性を実証するという。富士通がこの実証実験のアプリケーション開発ベンダーとして採用されたと10月29日に発表した。

 この実証実験では、全銀ネット理事銀行9行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、常陽銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行、三井住友信託銀行、京葉銀行)が参加する。銀行間資金決済専用のデジタル通貨を用い、小口取引を対象とした即時決済(RTGS)方式による、経済効率の高い新たな銀行間資金決済の仕組みに関わる機能検証を行うとともに、ブロックチェーンの有用性について確認するとしている。

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ブロックチェーンを活用した新たな銀行間決済の実証実験イメージ
(出典:富士通 報道発表)

 富士通は、同実証実験のICT基盤である新銀行間決済プラットフォームをブロックチェーンによって構築し提供する。さらに、2017年度にメガバンク3行と開発した「P2P(Peer to Peer)送金プラットフォーム」を活用し、銀行間資金決済のトリガーとなる他行宛て送金取引を発生させることで、同実証実験を支援するという。

ブロックチェーンとは何か、メリットおよび課題とは

 日本の銀行も本格的に動き出したブロックチェーンの活用。改めて、どのような技術なのか。最近の動向とともに、総務省の「平成30年版 情報通信白書」から抜粋して紹介しておこう。

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従来型の中央一元管理とブロックチェーンによる分散管理のイメージ
(出典:総務省「平成30年版 情報通信白書」)

 白書によると、ブロックチェーンとは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術によって分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、「ビットコイン」などの仮想通貨に用いられている基盤技術である。

【次ページ】ブロックチェーンは結局何に使えるのか?
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