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  • 2018/12/07 掲載

TECHFUND 松山CEO xアプリックス 長橋社長:IoTとブロックチェーンが「相性抜群」の理由

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いまブロックチェーンというと、仮想通貨システムを構成する中核技術として脚光を浴びているが、その技術はさまざまな領域で応用できる可能性を持つ。一方でどういった分野で本格的な利用が進むのかについてはまだ手探りの面もあり、PoC(概念実証)が先行する。こうした中、ブロックチェーンとIoTを連携した使い方に可能性を見い出す動きが出てきた。IoTソリューションプロバイダーであるアプリックス代表 取締役 兼 取締役社長 長橋賢吾氏(以下、長橋氏)と、BaaS(Blockchain as a Service)を手掛けるTECHFUND 共同代表 CEOの松山雄太氏(以下、松山氏)に話を聞いた。
聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、執筆:井上猛雄

聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、執筆:井上猛雄


ブロックチェーンとIoTのビジネス活用の現状

 ブロックチェーン技術の特徴は「プルーフ・オブ・ワーク」(POW)や「プルーフ・オブ・ステーク」(POS)などの承認アルゴリズムを採用することにより、改ざんしづらく、信頼性の高いネットワークを参加者全員でつくれるオープンな仕組みにある。

 TECHFUNDの松山氏は「ブロックチェーンの最大のポイントは非中央集権的であることです。そこにどんなデータを乗せるかによって、ブロックチェーンの使い方は大きく変わってきます」と説明する。ブロックチェーンはさまざまな用途に応用できるがゆえに膨大な数のPoCがあふれ、実際のところはどんな場面で利用するのが最適なのかが今まだ手探り状態とも言える。

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TECHFUND 共同代表 CEO 松山雄太氏

 一方、IoTのビジネスについてはどうか。アプリックスの長橋氏は、「良い意味で技術が成熟し、ようやく現実的な用途が出てきました。従来の工場だけでなく、ネットに接続されたテレビや冷蔵庫などの家電ニーズも顕在化し、流通とつながる流れも現れてきています」と語る。

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アプリックス 代表取締役 兼 取締役社長 長橋賢吾氏

 ただし、IoTの浸透でさまざまなセンサーやデバイスが増え、そこから取得されるデータ量も膨大になった。これを分析できる環境を構築したり、保管・管理するデータレイクを構築するにはコストもかかる。

IoTとブロックチェーンの親和性と、相乗効果による可能性

 そのような過渡期にある両技術だが、「IoTとブロックチェーンは非常に相性が良い」と主張するのが松山氏だ。

「ブロックチェーンでは非中央集権的なネットワークを構築できますが、新たにデータを手に入れたときに、そのデータ自体が偽物や誤りの場合、信頼性が損なわれてしまいます。また技術的にブロックチェーンは一度承認されたデータを改ざんすることが事実上不可能です。一方、IoTのようにデバイス上の決められた動きに従って、データがブロックチェーン上に記載される仕組みであれば、機械からのデータのため、こうした誤りが起きません。そのため、ブロックチェーンとIoTは補完関係にあるのです」(松山氏)

 松山氏は具体例として物流トレーサビリティを挙げた。生産者から消費者に至る記録を取得し、どの荷物が、どういう状態で、どこに届いているのかを可視化するとする。その際、人が介在して誤ったデータを書き込んでしまうとブロックチェーンでは面倒な誤り訂正を行わなければならない。そこで、IoTの位置情報をもとにブロックチェーンに正しいデータを記載するシステムにすればよい。

 さらに、もしどこかのサーバがダウンしても、ブロックチェーンならば複数ノードに同じ台帳を持っているため、信頼性を担保できる。

 長橋氏も「IoTで一番可能性を感じるのは位置情報です。コマツのKOMTRAXのように、モノの位置を把握するだけでも価値があります。最近はGPSを使うと高精度なシステムが安価に組めますが、位置情報の正確性や整合性を保つ際に、ブロックチェーンの活用が考えられます」と同意する。

 しかも、物流企業同士がブロックチェーン網を共同で構築すれば、安価に、かつ管理コストを抑えてトレーサビリティのバックエンドシステムを実現できる。もし従来型のシステムで構築した場合、そのシステム構築をどこか1社が「中央集権的」に構築しなければならず、またその運用保守を行うことが必要になる。この費用をどのように各社が分担するのか、といったことも問題になるだろう。

 一方、これをブロックチェーンで構築すれば、利用したい企業が自社サーバをブロックチェーン網につなぐだけでよい。現実の物流と同じ「相互乗り入れ」のようなことがシステム上でも行えることになる。

ブロックチェーンはオープン型のほうがよい理由

 ブロックチェーンは、参加者を限定しない「パブリック型」と、参加者を限定する「プライベート型」がある。

「どちらにもメリットはありますが、私はだれでも参加できるパブリック型のほうが、メリットが大きいと思います。ある企業同士だけ、用途が限定される場合には、プライベート型のブロックチェーンのほうが良いこともあるでしょう。ですが、先ほどの例で挙げた物流システムのような場合、オープン型にしたほうがより多くの仲間を募ることでダウンタイムをゼロに近づけることができたり、より透明性の高いシステムを作ることができます」(松山氏)

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 また、IoTでも同様の選択がある。

「IoTでも工場のようなデータは自社で持たければならないため、オンプレやエッジが採用されます。一方で、コスト重視でスケールしたい場合は、パブリックサービスのほうが向いているでしょう」(長橋氏)

【次ページ】クラウドとブロックチェーンは競合するのか
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