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  • 2018/12/04 掲載

ブロックチェーンの活用法が拡大、ストラディバリウスを「資産」に

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ブロックチェーンは元々仮想通貨を流通させるために編み出されたシステムだ。取引情報を複数のPCに分散させることで、情報の書き換えを困難にしている。そのため、安全性が高く、現在では大手銀行などもこの技術導入に向けて動いている。さらにブロックチェーンの用途は、投資やゲームの構築などにまで広がりつつある。芸術品やストラディバリウスまでも「分散」により資産家する、ブロックチェーンの新しい使い方とその未来を紹介する。
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ブロックチェーンを使えば、1人では買えないストラディバリウスのオーナーになることもできる
(© rcfotostock - Fotolia)


ブロックチェーンでストラディバリウスを投資対象に

 昨年創設されたマテリアム(Mattereum)という企業がある。拠点はロンドン。この企業のミッションは「ブロックチェーンにより実在する財産をデジタル化し投資対象にする」ことだ。

 これだけを聞くと非常に曖昧なのだが、要するにブロックチェーン技術を使って「スマートコントラクト」化(契約の自動化)を行い、仮想通貨に限らず、実在するモノをも投資対象として捉えるというものだ。

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 例を挙げると、同社では今年11月、ストラディバリウスの900万ドルのバイオリンをブロックチェーンを用いて購入した。これにより、バイオリンは実在の価値あるモノであると同時にデジタル上のアセット(財産)として登記される。個人が自分では全額を支払って購入できないものを、一部を負担する形でオーナーの一員となれる。しかもその自己購入部分に関して売買を行うこともできる。

 もう1つのユニークな点は、購入の際に、ブロックチェーンを通して購入者が同意する契約を結ぶということだ。価値のあるバイオリンは投資対象としてどこかの倉庫に眠っているケースが多いが、この契約では「年間にX回以上のコンサートに実際に使用する、またそのコンサートはYカ国に及ぶ」などの細かい取り決めが出来る。

若手アーティストの作品や歴史的絵画にも応用可能

 これを利用すれば、たとえば若手アーティストが自分の作品をマテリアムを通して投資家グループに販売する際に「年間のZ日間は作品を必ずどこかのギャラリーに展示する、美術館のデジタルギャラリーで閲覧可能にする」といった取り決めを行い、展示された日数に応じた入場料金からのキックバックを受けることも可能となる。

 歴史的な絵画についても同様だ。ブロックチェーンで取引記録を保存することにより、贋作などの問題を防げる、作品の履歴が明確になる、などの利点がある。そしてこのようなクリーンな履歴を持つことで作品の価値を上げることも可能となる。

 卑近な例で言うと、車の取引をする場合、買い手が気にするのは車に事故歴や故障歴があるかどうかという問題だ。書類上ではごまかすことができるこうした履歴もブロックチェーンを使えば書き換え不能で、常に情報提示が可能となる。

ブロックチェーンで宇宙の管理も

 マテリアムのような考え方は未来的ではあるが急速に広がりつつある。11月2日、マテリアムはスペースブリッジ・ロジスティクス(SpaceBridge Logistics)との提携を発表した。スペースブリッジは宇宙空間をブロックチェーンによって管理しようという壮大な計画を打ち立てている企業だ。

 スペースXによる再利用可能なロケット、やはりスペースXやジェフ・ベゾス氏、リチャード・ブランソン氏が計画する小型衛星によるインターネット網計画などにより、今後ロケットや衛星の打ち上げはより身近なものになると考えられている。

 スペースブリッジ・ロジスティクスの見積もりでは全体の衛星の総重量は2015年時点で7000トン程度だが、2030年には1万6000トン近くに増加するという。今後10年間の衛星打ち上げは8000基近くが予定され、宇宙空間の渋滞、宇宙ゴミの増加、また衛星の管理、衝突防止などの必要性が生まれる。

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全体の衛星の総重量

 さらにこれまでロケットや衛星の打ち上げは国家規模のプロジェクトだったが、今後はコストの低減により民間企業がスポンサーとなる打ち上げも増加すると見込まれる。スペースブリッジ・ロジスティクスは来たるこうした時代に備え、衛星の打ち上げから管理までをブロックチェーンによるサービスでサポートしようとしている。マテリアムとスペースブリッジ・ロジスティクスの提携により、今後個人が衛星事業に小口で投資するという時代も到来するかもしれない。

【次ページ】グローバル・自由貿易時代だからこそのスマートコントラクト
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