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  • 2017/10/31 掲載

テックビューロ 朝山貴生社長に聞く、ICOプラットフォーム「COMSA」開発の理由

いきなり100億円調達も

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トークン(デジタルに価値を記録し、モノやサービスと交換され流通する”電子記録”)を発行し、それらを売り出すことで資金を調達するICO(Initial Coin Offering)。ICOを実現する総合サービス「COMSA(コムサ)」を提供し、いま注目を浴びている企業がテックビューロだ。先ごろ同社は自身が開発したCOMSAのICOを実施し、この11月6日までトークンセールを開始した。テックビューロの代表取締役社長 朝山貴生氏に、COMSAの狙い、その特徴とメリット、注意点、さらに今後の展開まで詳しい話を聞いた。
(聞き手:ビジネス+IT編集部 山田竜司)

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テックビューロ 代表取締役社長 朝山貴生氏

ICO向け総合サービスCOMSAとは何か

──COMSA(コムサ)とは一体どのようなものなのでしょうか。

朝山氏:最近はICOと言うと資金調達にばかり目が向く傾向ですが、COMSAは、実業を持つ企業がブロックチェーン技術を導入するための総合サービスです。

 最近では多くの企業がICOに興味を持ち、トークン(価値を記録し、モノやサービスと交換され流通する”電子記録”)を発行することで資金調達したいというニーズが高まっています。しかし、トークン発行のため、ブロックチェーン技術を導入するには、さまざまな課題や困難があります。

 そのひとつが、仮想通貨のボラティリティの高さ(資産価値の変動を示すパラメータ、ボラティリティが高いとは値動きが荒いことを指す)です。それが会計上や監査上において、さまざまな煩雑さを招いています。

 こういった課題に既存のサービスは対応できていません。そこでCOMSAでは、実ビジネスにブロックチェーン技術を導入したいと考えている企業に対して、我々がワンストップでサービスを提供し、ICOのお手伝いをします。

 何かとICOが前面に出て話題になっていますが、もともと2年以上前から練ってきた弊社の根幹となるビジネスです。

──COMSAで提供されるワンストップソリューションとは具体的にどのようなものですか?

朝山氏:COMSAには3つの大きな機能があります。ひとつ目はトークンに関する機能です。仮想通貨やトークンを売買する「Zaif取引所」でICO案件を取扱うことや、(トークンの売買を管理する)コントラクト実装、プライベート・ブロックチェーン構築用の基盤製品「mijin」の提供などです。

 ICOではまず企業が、自社の独自機能を持った電子トークン(例えばCOMSAではCMS)を発行します。

 そして、発行したトークンを取り扱う、つまりそのトークンに価値があると結果的に認め、他の仮想通貨や日本円に自由に交換できる取引所として、我々はZaifを有しています。

 これらのトークンを社内の内部勘定で一括管理する環境を構築できる製品として有しているのがプライベート・ブロックチェーン基盤のmijinです。

 2つ目の機能は、mijinで構成された複数のプライベート・ブロックチェーン、およびビットコイン、NEM、イーサリアムといったパブリック・ブロックチェーンを連携させ、その間でトークンの整合性を保持できる、スマート・コントラクト(契約の自動化)の提供です。

 これを実現するため、mijinで構成されたプライベート・ブロックチェーンのライセンス保持者に提供され、パブリック・ブロックチェーン上のマスターアカウントと内部のプライベート勘定との間でトークンの残高を コントロールするソフトウェア「COMSA HUB」を利用します。

 現在開発中ですが、COMSAで発行するトークンは、トークン変換サービスであるCOMSA COREを通じてNEMやイーサリアムといったブロックチェーン間を自由に行き来できるようになります。

 つまりCOMSAは複数ブロックチェーン間のゲートウェイとして機能するプラットフォームになります。そしてUSドルや日本円など実社会の法定通貨建ての商取引を、ブロックチェーン上で第三者の仲介なしに実施できるわけです。

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COMSAは複数ブロックチェーン間のゲートウェイとして機能する基盤に


 3つ目の機能は、冒頭で触れたICO実施へのサービスです。ICOの際、発行するのが望ましいとされるホワイトペーパー(IPO前の目論見書と同様のもの)の整備から、トークンの機能設計、ブロックチェーンの導入プラン、国内外へのPR、トークンセール(売り出し)ツールまでを、我々がひとまとめで請け負うことで、ICOの実施をサポートします。

 一般企業ではホワイトペーパーを作ることがICOへの第一のマイルストーンになるのですが、なかなかそこまで至らないケースが多いのです。

COMSAをゲーム会社に例えると……

──COMSAで実現できることについて、たとえばVRゲームを提供している企業を例に説明していただけますか。

朝山氏:たとえばVRゲームの世界で、COMSAが導入されたことを想定しましょう。まずVRゲームの企業は、COMSAを利用してゲーム内の独自トークンを売り出し、ICOを実施することで資金を調達します。そのトークンは、VR内の基軸通貨としても使用できます。

 さらにCOMSAでは、日本円と同じ価値のトークンをNEMのブロックチェーン上で保有でき、そのトークンをVRの特定ユーザー宛に送金することも可能です。

 もちろんVR内で流通するお金は、プライベート・ブロックチェーン(mijin)で管理され、外部から送られてきた金銭価値の整合性が保証されます。

 つまり送金された日本円は、あたかも本当の銀行のように、VR内でVRトークンとして交換されます。そのバックで仮想通貨取引所のZaifが自動的にレートを変換する仕組みです。ユーザーはトークンをVR内で自由に使い、不要になれば日本円に戻し、また現実世界で送金することができます。

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VRの世界で円と同価値のトークンをNEMのブロックチェーン上で保有し、そのトークンをVRの特定ユーザーに送金することも可能


【次ページ】ICOが「儲け」だけでなく、健全に広まるためには
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