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仮想通貨のためのプラットホームとして開発されたブロックチェーンだが、このところビジネス界でも利用が広がっている。そんな矢先、米国務省と複数の企業が協調し、世界中で今も存在する子供の強制労働(Forced labor)など、いわゆる「奴隷労働」を撲滅しようという取り組みが始まった。
技術スタートアップと米国務省がタッグ
ブロックチェーンのメリット、それはプラットホームが複数に分散し、情報の書き換えが容易ではないこと。つまり一部のプラットホームがハッキングされても他のプラットホームの情報は保護され、再構築が可能、外部からの悪用に強く情報を守れる、という点だ。これを人道的目的に利用しよう、という試みは世界的に広がっている。
今回、米国務省が「世界でまだ行われている未成年者の強制労働などをブロックチェーンを用いて撲滅する」という方針を打ち出したのもその一つだ。ブロックチェーンによって労働者の登録情報を管理し、実質的に未成年者などが海外の市場であっても強制的に労働力として駆り出されるのを防ごう、というものだ。
国務省が担うのはアドバイザー的役割で、技術面を担当するのはBitfury社、Emercoin社。両社はこのプロジェクトに対するブロックチェーンの構築、運営を担当する。またコーディネーター的役割を果たすのはブロックチェーン・トラスト・アクセレレーター社で、「コカコーラを始めとする国際企業が労働者情報を管理し、労働者の安全と権利を守ることが目的」という。
世界で4000万人以上が「現代の奴隷制度」下に
国際労働機関の調査によると、2016年の1年で「現代の奴隷労働」と呼ばれる強制的な労働環境下にある人は世界で4000万人以上、うち1500万人は強制的な結婚を強いられる人々だという。また強制労働に従事する人のうちおよそ4分の1が子供だ。そして全体の47%が東南アジアだという。
コカ・コーラ社が今回の取り組みに賛同する理由は、同社が近年「サトウキビの収穫などに子供が強制労働させられている実態を野放しにしている」という批判にさらされているためだ。コカ・コーラ社自身が未成年者を労働力として雇っていないにしても、契約企業など末端部分での労働管理に目が行き届いていない結果であり、国際的な食品産業の多くが同様の問題を抱えている。
コカ・コーラ社では「米国務省との協力とブロックチェーンを導入したパイロットプログラムへの参画は、わが社が近年積極的に行ってきた労働力管理の透明化、安全化への取り組みの一環である」という声明を出した。
同社では2020年までに国内で28の「労働と土地の利用の安全性に関する調査研究」を完遂し、食品産業としてトップクラスの労働力、環境保護の位置につく、と誓約している。
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