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  • 2018/08/07 掲載

仮想通貨、ブロックチェーンは本当に「インターネット以来の革命」か

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現在、多くの関心を集めている仮想通貨。これは一時的なブームに過ぎないのか、新時代のスタンダードとなり得る革新的な通貨なのか。「新経済サミット(NEST)2018」では、「Japan Ahead 集え、日本を牽引する力」をテーマに、楽天フィンテックファンド マネージングパートナー兼 楽天 執行役員であるオスカー・ミエル氏がモデレータを務め、QUOINE 代表取締役の栢森 加里矢氏、Argon Groupマネージング・ディレクターのエリオット・ハン氏が登壇。「仮想通貨」「ブロックチェーン」「ICO(Initial Coin Offering)」をテーマに議論がなされた。
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楽天フィンテックファンド マネージングパートナー兼 楽天 執行役員
オスカー・ミエル氏

一時的なブーム? 仮想通貨の現在地

 まず楽天の執行役員であるオスカー・ミエル氏が仮想通貨の市場規模に関する現状を説明した。仮想通貨全体の時価総額は2018年4月時点で2600億ドルを超える勢いにあり、これは名だたる巨大テック企業の時価総額を超えている。ここ1年で急速に増加し、14倍ほどの伸びを見せている。

 また最近の傾向としては、仮想通貨による新しい資金調達方法である「ICO(Initial Coin Offering)」が盛んに行われている。2018年4月時点において、20以上の業界で1500件を超えるICOが実施され、50億ドル以上の金額が調達されてきた。

 ミエル氏は「ビットコイン取引の約半数が行われるなど、日本は仮想通貨取引のグローバルリーダーになりつつある。コインチェックによる不正流出事件を受けた交換業者による自主規制団体の発足などの動きも見られ、仮想通貨の安全な取引への整備を進めつつある」と説明する。

 ミエル氏によると、日本やスイス、バミューダ、シンガポールなどが仮想通貨フレンドリーな地域であり、米国やヨーロッパの一部、韓国などを含めて規制が入ると、通貨価格が下がる傾向にあるという。

仮想通貨は“ゼロサムゲーム”なのか?

 ミエル氏は、登壇者のQUOINE 栢森 加里矢氏、Argon Group エリオット・ハン氏の2人に「仮想通貨について、ギャンブルでいうところの“ゼロサムゲーム”という捉え方をしている人もいる。仮想通貨をアセットクラス(投資対象となる資産)だと考えてもよいのか」と質問を投げかけた。

 栢森氏は「仮想通貨はアセットクラスだと捉えている。ビットコインを例に挙げると、2017年にその価値は急増して、その後一気に下がった。これは仮想通貨にとって必要な反落だと考えている。仮想通貨は金(地金)と似ていて、長期的なアセットクラスにもなり得る。まだ、アセットクラスとしての価値が出始めたばかりだ。今は購入するタイミングでもある」と回答した。

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QUOINE 代表取締役
栢森 加里矢氏

 エリック氏も同様に「仮想通貨の価値を判断するにはまだ早すぎる。個人の見方はそれぞれあると思うが、私も参加するには今がよいタイミングだと思っている。成長の痛みというものもあるが、アセットクラスとして捉えている」との見解を示した。

 また、「仮想通貨にも投機的な側面があるが、少し時間をかけて不正の部分をなくしたり、規制を敷くことで改善されてくるだろう。今、まさに非常に革新的なものが生まれようとしている段階にあると考えた方がいい」と語った。

 その言葉を受けて、ミエル氏は「政府の介入や規制はその逆風になるのだろうか? マイナスの影響を及ぼす可能性はないのか?」と質問した。

 エリオット氏は「規制そのものはイノベーションを抑制するものではない。多くの投資家を守るためにある」と答えた。

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Argon Group マネージング・ディレクター
エリオット・ハン氏

 栢森氏は「グローバル規模で考えると、仮想通貨をストップさせるものは何もないと思う。その中核にあるのは、分散型のブロックチェーン。ビットコインが2009年に始まったのは、グローバルな金融危機に対するアンチテーゼとして始まったともいえる。しかし現在では、ファイナンスの主流となっているので、そうした役割は担っていない」とコメントした。

「ブロックチェーン」は新時代へ突入

 次に、ミエル氏は「ブロックチェーン」をテーマに進行。ミエル氏は「現在、われわれは『ブロックチェーン3.0』という段階にいる」と説明した。

 ミエル氏によると、分散型・非中央集権型の仮想通貨としてビットコインが誕生した「ブロックチェーン1.0」から、イーサリアムやプログラマブルなブロックチェーン、「スマートコントラクト」など複雑な技術が台頭してきた(ブロックチェーン2.0)。現在は、そうした技術を活用して企業が新しいビジネスモデルやサービスを提供できる段階(ブロックチェーン3.0)にある。ブロックチェーンは短期間で進化を遂げているという。

 ブロックチェーンは「パブリックブロックチェーン」から、企業が開発した「エンタープライズ(プライベート)ブロックチェーン」にも応用されはじめている。送金取引(Remittance)の分野においては、既存の金融機関がその基盤としてブロックチェーンを活用すべく研究開発を進めている。大手金融機関各社が自社内に研究機関を設けるなど注力している。

 パブリックブロックチェーンとエンタープライズブロックチェーンの違いについて、ミエル氏は「インターネットとイントラネットとの違いだ」と説明する。皆がオープンに参加できるパブリックブロックチェーンでは、すべての参加者を募るとスピードがそげてしまう。そうした課題をエンタープライズブロックチェーンは解決できるのだという。

 そのうえで、登壇者2人に「ブロックチェーンで一番ワクワクすることは何か」と質問した。

【次ページ】 ブロックチェーンの「ワクワク」、ICOでは27%が失敗
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