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- 2018/03/09 掲載
再生医療を本格普及させるには「標準化」に取り組むべきだ
安全性の確保なしに前へ進めない再生医療
これまでの医学では難病とされた疾病が再生医療で克服可能と期待されている。
その反面で、これまで以上に懸念すべき点もある。それは安全性や品質の確保だ。生きた細胞や組織を利用するために、慎重を期さないと感染症の伝搬や不純物混入、腫瘍形成、好ましくない免疫反応などを引き起こす恐れがある。
医療業界や製薬業界にとって、再生医療の社会実装は過去の経験をそのまま適用できない未知の領域だ。
産業として進化させるには世界で共有できる標準が必要
この日のシンポジウムでは、「再生医療製品製造の課題と標準化に向けて」と題したパネルディスカッションが行われた。再生医療製品製造分野では現在、安全性確保のための標準化活動が幅広く進められているが、実のところその対象は多岐にわたる。細胞入手や細胞バンク構築に関するものもあれば、細胞調製や品質評価に関するものもあり、輸送や保存のプロセスに着目したものもあれば、創薬の安全性評価・有効性評価に焦点を置いたものもある。
そして、あるものはアカデミア主導、あるものは国際標準化機関主導など、対象ごとに標準化活動の様相は異なっている。
再生医療製品の製造プロセスの標準化については、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)がISO/TC 276 のメンバーとして参加し、日本主導の国際標準化を推進している。
富士フイルム再生医療事業部嘱託 FIRM標準化部会長 日置達男氏は、「産業化を考える際にカギとなるのは標準化だ。これは都市計画のようなもので、人々が個々に家を建て始める前に街のデザインを示す。“標準”の条件としては(1)共通言語となれること、(2)オープンであること、(3)権威を持っていること、(4)有用と信頼できること、の4つが重要で、ISO/TC 276はすでに(1)から(3)を満たしている。(4)については今後開かれるワークショップなどの経験を通じて確立していくことになる」と語る。
大阪大学 大学院工学研究科 生命先端工学専攻 教授 紀ノ岡正博氏は、培養組織生産分野における第一人者だ。「再生医療分野は製造者、アカデミア、規制当局など多くのステークホルダー間でのコラボレーションが欠かせないが、幸い日本にはよいコミュニケーションがある。すぐれた再生医療製品を世に送り出すためには、モノづくりの視点だけではなく、ルールづくりやヒトづくりなど、コトづくりの視点が重要だ」そう同氏は強調する。
【次ページ】再生医療の製造の機械化はどう実現するのか?
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