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- 2023/10/11 掲載
ChatGPTのほうが「医師より説明上手」、医療での生成AI活用の可能性と課題
連載:基礎からわかる医療ITの『なぜ?』
医療現場で注目を集める「AI活用」
Q.近年、AI活用が加速していると聞きますが、医療業界ではAIを導入しようという試みはあるのでしょうか。
A.新型コロナによって、医療業界のデジタル化の遅れが露呈しました。感染者数を把握するにも、り患した患者を専門病院に紹介するにも、いまだにFAXや電話がメインの連絡手段である医療界は、多大なる非効率が発生していました。
このような背景から、政府は「医療DX政策」を矢継ぎ早に進めており、2023年4月にはオンライン資格確認を義務化、将来的には全国の医療機関を結ぶプラットフォームに発展させ、誰もがスムーズに情報にアクセスできる環境を整備しようとしています。
こうしたデータベースが構築できれば、次に蓄積された医療情報を分析・活用する手法として、AI技術の活用が見込まれます。
さらには、医療機関も人手不足といった課題を抱えており、AIを含めたデジタル技術を活用し、生産性向上に取り組む必要性を実感しており、その動向を注目しているのです。
どうなる?医師の仕事をChatGPTが実践すると…
Q.ChatGPTのような生成AIも活用されていくのでしょうか?「ChatGPTは患者への説明が医師よりも上手」という記事を読んだのですが、ChatGPT活用の可能性についても教えてください。
A.上記の記事によると、医療における専門的な情報を患者に説明する際、7割以上の人が医師に比べてChatGPTの方が正確かつ質が高かったと回答しているといいます。
医療で使われる用語は難しいものが多く、患者にとってはわかりにくいと感じているかもしれません。そういった部分をChatGPTは通訳して説明してくれているというわけです。
医師の説明が難しいと感じるのは、医療現場では、検査や治療の過程で薬の副作用など、さまざまなリスク情報について正確に伝えることが重要視されているからです。医師は患者により正確に伝えようとする際、専門用語のまま説明したほうが良いこともあるでしょう。
加えて、診察の時間は限られているため、短時間で漏れなくリスクを伝えようとすると、わかりやすく言い換える時間もないのかもしれません。
そういった意味では、ChatGPTには非常に可能性があると思います。
他にも、たとえば、ホームページやSNSでの情報発信や院内掲示(ポスター)などで表現に悩む時に、ChatGPTを利用してみるという使い方が考えられます。
また、口コミに対して回答する際に利用するということもあります。患者から来た口コミや質問に対して、いきなり回答文を書くのではなく、一度ChatGPTに聞いてみて、それを参考に回答文を作成すると効率化できるというのです。
時には、新しい視点に気づくことができる可能性もあり、なかなか相談相手がいない医師にとっては、壁打ちの相手として利用できるかもしれません。 【次ページ】押さえておくべきChatGPTの「落とし穴」
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