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- 2023/11/27 掲載
医療の現場でも進む生成AI活用、莫大なコスト削減につながる理由とは?
専門領域特化の生成AI活用へ
生成AIトレンドの発端となったOpenAIのChatGPTだが、専門領域では使いづらいという指摘がある。特定のドメインやタスクに対する専門知識不足、プライバシー懸念などがその理由だ。ただし、生成AIが持つポテンシャルに対する期待は高まっており、各専門領域では、それぞれの領域に特化した生成AIアプリケーションを開発する取り組みが加速している。
最近、話題になることが増えているのがヘルスケア領域における生成AI活用の動向だ。
ヘルスケアは、米国で年間約4兆ドルの資金が費やされる巨大市場。同市場では、反復的な労働集約作業にかかる経費が膨らみ、その額は3,000億ドルに上るともいわれており、コスト削減や生産性改善を目的とする業務自動化の需要が高まっている。
またKPMGによれば、米国ヘルスケア市場では、2030年までに医療人材が1800万人不足する可能性があり、医師や看護師の過労や燃え尽き症候群を予防するといった観点からも、自動化に対する関心が高まっている。
この文脈で注目が集まっているのが、ヘルスケア領域に特化した生成AIアプリケーションだ。
医療レポートを6カ月から数分に短縮するAI
ヘルスケア領域における生成AIアプリケーションを開発する企業の中でも、最近注目を集めているのがシリコンバレー発のAtropos Healthだ。2023年10月にAtropos Healthが発表したAIシステム「Geneva Operating System」は、自然言語処理と生成AIを活用して、通常8週間から6カ月かかるといわれる研究レポートの作成を数分に短縮することが可能だ。
同システムに組み込まれたChatRWDというチャットボットインターフェースを通じて、質問を投げかけると、AIがクエリを改善する方法を提案、その後Atropos Health社が有する1億6000万に上る匿名化された患者記録から適切なデータを抽出し、厳格な統計手法のよる分析を実行して、その結果を研究レポートの形式としてアウトプットする。
同システムを利用する医療機関やデータ提供機関は、Atropos Healthに対し、各機関が保有するデータを提供し、そのデータが使用された際に、補償を受けることができる。またデータを提供する機関は、誰がどのような目的でデータを使用するのかという条件をコントロールすることも可能となっている。
Atropos Healthは2023年9月に資金調達ラウンドを実施、この資金を活用して日本とブラジル市場に参入することを明らかにしている。2022年には、シリーズAラウンドで1,400万ドルを調達した。
Atropos Healthは、Geneva Operating Systemのほか、「Green Button」と呼ばれる臨床情報サービスを展開。これは臨床分野におけるユーザーの質問に対し、48時間以内に出版できる水準の研究レポートを作成するサービスだ。また、Atropos Healthは2023年8月、生命科学アドバイザリーボードを設立しており、今後は生命科学分野での取り組みを加速する意向も明らかにしている。 【次ページ】非構造化データにも対応する自動化プラットフォーム
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