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新型コロナウイルスのパンデミックはアジア太平洋地域のヘルスケア業界にも影響を与えています。アジア太平洋地域におけるヘルスケア業界の市場規模は、軒並みに限界まで伸び続けており、2025年には225億ドルに達すると予想されています。この成長の原動力は、エッジコンピューティングと人工知能(AI)の2つにあると考えられます。今後、イノベーションが期待されるヘルスケア分野でこれらの技術が重要な役割を担う理由を紹介します。
執筆:Veeam Software ネイサン・ステイナー、ヴィーム・ソフトウェア 古舘 正清
執筆:Veeam Software ネイサン・ステイナー、ヴィーム・ソフトウェア 古舘 正清
ネイサン・ステイナー(Nathan Steiner)
Veeam Software オーストラリア・ニュージーランド地域エンジニアリングヘッド。2016年よりオーストラリア・ニュージーランド地域にてVeeamのシステムエンジニア・シニアディレクターを務める。2020年にはコロナ禍の広がりに対応し元FBI(米国連邦捜査局)のジェフ・ランザ(Jeff Lanza)をゲストに迎えランサムウェア対策のウェビナーを開催。現職以前は2000年代初頭からCitrix、IBMなどでITの要職を務める。
古舘 正清(フルダテ マサキヨ)
ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長兼バイスプレジデント。日本アイ・ビー・エム、日本マイクロソフト、レッドハット、F5ネットワークスジャパンを経てヴィーム・ソフトウェアの日本法人の執行役員社長に就任。
2028年までにデジタル先進市場となる見込み
エッジコンピューティングとAIには、非常に多くのケーススタディーと価値があります。これらの技術は、サービスの提供をすべての人にとってより物理的に利用しやすくし、全般的に効率を上げる可能性があります。
エッジコンピューティングは、データ、分析、処理能力を最も必要とされる場所に集中させることができます(診療所、病院、検査室、手術室、そして患者や家族の自宅など)。エッジコンピューティングと機械学習ツールは、データの事実確認と関連性のある分析をリアルタイムで行うことができ、ヘルスケア業界の運営方法をマクロレベルで変革します。
データをエッジでローカルに処理することで、医療機関は従来のオンプレミスのインフラ制約を最小限に抑えることができます。このようなデバイスは、接続性の低い遠隔地へのケアや、よりシームレスなケア、診断の正確性とスピードの向上、サプライチェーンの管理などですでに活用されています。これは、ヘルスケアサービスの提供を強化し、患者の回帰を早めるためのものです。
スマートフォン、ウェアラブル、
電子カルテの普及により、医療機関はあらゆる業種の中でもクラウド化が比較的進んできています。米国の調査会社Grand View Researchの調査では、現在から2028年までの間にデジタル化が最も進んだ地域市場となることが予想されています。以降では、エッジコンピューティングがヘルスケア業界の未来を担う理由を紹介します。
ヘルスケア領域でエッジコンピューティングが活躍する理由
エッジでデータをローカルに処理する機能は、オンプレミスのインフラを介した限られたデータ転送、低速、低帯域、クラウドストレージなどの障害に対応します。これにより、コストの削減や配信速度の向上につながる一方で、これらの情報をローカルに保存することで、プライバシーやセキュリティの面でさらなるメリットが得られます。
たとえば、AIとエッジコンピューティング技術により、ウェアラブルヘルスモニターやフィットネストラッカーは、脈拍数、血液中の酸素濃度、睡眠パターンなどのデータを収集し、ローカルに分析します。そして、医師はこのデータを使って、その場で患者を診察・診断することができます。また、過去のデータを分析することで、特定の患者の健康状態の傾向や問題点を把握することもできます。
加えて、大規模な医療ネットワークから切り離されたエッジデバイスを使用することで、サイバー犯罪者が個人データにアクセスすることが非常に困難になります。エッジコンピューティング、特にハイブリッド・マルチクラウドモデルを採用した場合、医療機関はダウンタイムを最小限に抑えながら、海外のデータセンターを利用することなく、適切なサービスを、適切な人に、適切な時間に提供することができるようになります。
【次ページ】「データ駆動型ヘルスケア」によるイノベーション
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