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- 2017/06/12 掲載
ブロックチェーンのビジネス活用方法をガートナーが解説、関連企業がわかる1枚の図
分散型で信頼性を高めるブロックチェーンの基本メカニズム
ブロックチェーンは、信頼できない分散型の環境において信頼性を高めるためのメカニズムとされている。Single Source of Truth(真実となる唯一の情報源)と呼ばれる台帳を作り、金融取引や所有権の記録、その他の価値ある資産など、取り消しが許されない重要なデータやイベントを記録するのである。
ガートナー リサーチ部門のマーヴ・エイドリアン氏は、「さらに今後、この台帳に対して受動的にデータを記録するだけではなく、オプションとして、プログラムされた動作を動的に追記できるようになる可能性が高い」と見る。
こうした特徴によりブロックチェーンは、株式や不動産情報、カルテ、コンテンツ、メディアなど異なるタイプのさまざまな資産や知的財産の直接交換を可能とし、新たな価値を形成する基盤となりつつある。すでに全世界400万人が利用していると言われるビットコインは、そうした中で台頭してきた仮想通貨のひとつだ。
ブロックチェーンの仕組みをもう少し踏み込んで見てみよう。ネットワークの参加者が新規の取引を作成すると、そこに提示された取引が他の取引と組み合わされ、1つのブロックに格納される。そして個々のネットワーク・ノードが競い合って暗号パズルを解き、正しい答えがネットワークに拡散される。こうして最終的に確定したブロックが、ブロックチェーンに付加される。
なお、一般的なブロックチェーンは、非許可制のデリバリ・アーキテクチャに基づいている。すなわちブロックチェーンに参加する上で特定の管理者の許可を得る必要はなく、自らの身元を明かす義務もない。使用するデバイスが認証されているという条件さえ満たしていればそれでよい。
一方、限られた組織間において許可制のデリバリ・アーキテクチャに基づいたブロックチェーンを構築することも可能だ。
もっともこの点については、「わざわざブロックチェーンでなくとも、従来型のRDB(リレーショナルデータベース)を使えばよいのではないか?」という疑問が生じるかもしれない。これについてエイドリアン氏は、ブロックチェーンならではの次のようなメリットを示す。
「これまでネットワークを介して取引が行われた場合、その当事者間で必ず発注書や納品書、請求書などの処理についてRDB上での整合性を取る必要があった。これに対してあらゆる取引の記録を1か所に台帳に集約することができれば、煩雑な突合作業をなくすことができる」
データや分析基盤にブロックチェーンが及ぼす影響とは
もうひとつの論点としてエイドリアン氏は、「ブロックチェーンはデータ/アナリティクス・インフラストラクチャに対しても大きな影響を及ぼすことになる」と示唆する。なぜならブロックチェーンには、対称ではない情報が存在するからだ。情報の利用者はプロバイダーについて何も知らなくても、自分たちのアナリティクスのために必要な情報がそこにあることがわかる。それだけで十分なのだ。
たとえばグラフ分析について考えてみる。グラフ分析とは簡単にいえばノード(節点)とそれを結ぶエッジ(枝)で表現されるモデルを構築し、人やモノの関係を分析する手法である。ただ、これを実現するには高パフォーマンスを発揮する特化したシステム、複雑なアルゴリズムを駆使する専門的なスキルセットが要求され、コストも高く、結果として用途を限定せざるをえなかった。
「そこにブロックチェーンを用いれば、Single Source of Truthにあらゆる情報を格納することが可能となる。人やモノの関係性まですべてフラットファイルで共有し、グラフ分析をシンプルに実行できるようになる」とエイドリアン氏は強調する。
サプライチェーンについても同様だ。そのネットワークには製造から卸、リテールまでさまざまな企業がつながり、情報を交換し、交渉し、行動を起こしているが、それぞれ異なるシステム間での整合性をとるためにこれまで非常に苦労してきた。「ブロックチェーンはそれらの情報をSingle Source of Truthに統合し、エンドツーエンドのアナリティクスやマイニングを行うことを可能とする」とエイドリアン氏は語る。
【次ページ】テクノロジーサプライヤーがひと目で分かる1枚の図
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