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- 2013/10/29 掲載
4ステップでできるソーシャルメディア炎上対策の教育研修、ぜひ伝えたい炎上6パターン
連載:ソーシャルメディアの企業活用リスクマネジメント
ガイドラインの効果を十分に発揮するために
しかし、それだけで炎上リスクへの対策が万全かと言えば決してそうではない。
ソーシャルメディアガイドライン配布の目的は炎上リスクを未然に防止することである。そのためには、従業員が自らルールを守らなければいけないという必要性と危機感を共有してもらうことが大切だ。
そのためには、ガイドラインの策定に加えて、企業がもっとも短期間で行える対策として挙げられるのが、従業員向けの教育研修だろう。
実は、本来であれば、ガイドラインの配布は、教育研修を実施したあとに行うべきである。先に配布すると、場合によっては効果を発揮するどころか従業員から反発を招くことすらあるからだ。また、反発が出なかったとしても従業員がガイドラインを守る必要性を感じず、結果的にガイドラインが効果を発揮しない場合もある。個人におけるソーシャルメディア利用は、個人の“表現の自由”にあたるという前提がある。表現の自由は法規的にも個人に認められている立派な権利である。いくら企業として炎上リスクに備える対策が必要であっても、突然ルールを突きつけるような行為は、他人の家に土足で上がりこむようなものだ。
さて以上のような前提で、今回は教育研修の実施手順を丁寧に説明したい。
<ステップ1>教育研修時の入り方
教育研修の冒頭ではまず、会社のソーシャルメディア対策の取り組みの背景を最低限でよいので伝えたい。炎上に関するニュースはテレビなどでもたびたび報道されている。ソーシャルメディアへ問題ある投稿によってトラブルが多発し、投稿者が所属する会社にも損害を与えることがあるなど、社会的に問題になっていることはほとんどの従業員が知っているだろう。こうした中で、対策が企業として「社会的な必要性」があることを伝えるのである。
そして次は、事例が生んだ「悲劇」を伝えることだ。ここでのポイントは、従業員がそれぞれ個人レベルで対策の必要性を感じてもらうことだ。
これは研修の中で、一番重要な部分とも言える。なぜなら、ソーシャルメディアに対する意識は、従業員個々によって大きなばらつきがあるからだ。たとえば、企業の業種によっても、さまざまな職種があったり、年齢層も違ってくる。その中で、ソーシャルメディアを利用している従業員もいれば、事件は知っていてもソーシャルメディアの意味は十分に知らない従業員もいるだろう。
しかし、各従業員には“自分事”として捉えてもらわなければならない。そのために、ソーシャルメディアのトラブルが、従業員一人ひとりに大変な悪影響を及ぼす可能性があることを知ってもらうことが必要なのである。
ソーシャルメディアの炎上により個人が被る被害には、投稿者本人の実名や自宅住所、勤務先、写真だけではなく、家族や友人の情報が掲示板に書き込まれ、それが誹謗中傷とともにネット上に半永久的に残ってしまう。
たとえソーシャルメディアを自分が使っていなくとも、炎上トラブルに巻き込まれた人がいること、自分も巻き込まれる可能性があることを知っておかなければならない。
このような問題点を認識してもらうためには、過去に実際に起こった事例を見せると効果的だ。過去に起こった炎上事件は今や枚挙にいとまがないが、同じ業種の事例があればなおさら自分事として捉えてくれるだろう。
このように、研修のはじめはまず、一つでも良いので事例が生んだ悲劇を伝え、自分事へと置き換えてもらうことで、従業員の聞く意識を高めていくのである。
<ステップ2>共通の認識を持つ
次のポイントは“ソーシャルメディア”に対しての共通の認識を持ってもらうことである。「“ソーシャルメディア”とは何か?」と聞かれた時にあなたは何と答えるだろうか?また、周りのユーザーは何と答えるだろうか?実際に聞いてみると、数人に聞いてみるだけで、結構違った答えが返ってくるだろう。
ここからわかることは一口に“ソーシャルメディア”といっても、その認識は人それぞれで大きく違うものだということ。
自分の不用意な投稿から炎上を起こした人は後に、「まさかここまで大きな騒ぎになるとは思いもしなかった」と揃って口にする。
【次ページ】従業員にぜひ伝えたい炎上の6パターン
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