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- 2012/12/19 掲載
大手家電量販店のツイートが炎上した理由とは?TPOをわきまえたソーシャルメディア活用法
連載:ソーシャルメディアの企業活用リスクマネジメント
TPOをわきまえたソーシャルメディア活用法
「TPO」という言葉がある。言うまでもないが、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)の頭文字から付いた言葉だ。企業の新人研修などでもよく用いられるが、筆者はビジネスシーンにおけるその言葉の意味を、「社会人として、幅広い年齢層や多くの社会的立場の人がいることを考慮し、それぞれの時間、場所、場合に適切な振る舞いを行うこと」を促すための言葉だと解釈している。現代風に言い換えれば、「空気を読め」ということになるだろうか。
たとえば、ある社員が上司に連れ添って取引先担当者の接待に行った際、その社員が上座に座り、先にメニュー表を閲覧して注文をしたとすれば、明らかに「空気を読めない奴」となるだろう。
このTPO、ソーシャルメディアを活用する際にも非常に重要なポイントとなる。
冒頭のツイートに関して、「何が問題なのかわからない」という意見もあるだろう。しかし、このツイートが問題視された原因には大きく2つのポイントがあった。
1つはツイートを行ったタイミングである。このツイートが行われたのは、地震の発生から約30分後、東北地方を中心に津波警報が出ている最中だった。人々の頭の中によぎっているのは、被害の規模はどの程度なのか?東日本大震災で経験したような津波が襲ってこないか?交通インフラがマヒしていないか?余震の可能性はどうか?などである。
もう1つは宣伝ツイートと解釈されてしまったことである。そのような状況の中で、ツイートされた内容は「日頃の備え」で、さらに自社の防災関連グッズの販売サイトへのリンクを貼ってしまった。結果、一部の人にとって、その企業は人々の地震に対する不安に便乗した、宣伝ツイートを行うような企業だと解釈されてしまった。
安全が確認された後だったら許されたかもしれない(時間)。ECサイトのPRがなければ許されたかもしれない(場合)。つまり、同ツイートはTPOをわきまえられなかったということになる。接待の席で空気を読めないことと違うのは、それがまたたく間にリツイートされ、衆目に晒されるということだ。
その後、その大手家電量販店の公式アカウントは、カギ付きの非公開アカウント(許可されたフォロワーのみがコメントを見ることができる状態)となった。同社は現在(12月12日18時)のところ、この件に対してのコメントは発表していないが、企業の公式アカウントが非公開になることは異例の事態と言える。
過去の失敗事例を活かせず
実は同じような失敗は東日本大震災の際に、レンタルビデオチェーン大手のある店舗が運営するツイッターアカウントでも起こっていた。大地震の直後、メディアが伝えるのは当然、地震やその被害に関するニュースばかりだ。それに対して、その店舗はレンタルビデオの宣伝ツイートをしてしまったのである。後に同店のアカウントはツイートの削除と謝罪を行った。
では、このような場合、どのようにツイッターを活用するべきだったのだろうか?活用方法はいくつかある。
【次ページ】TPOをわきまえたツイッター活用方法
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