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  • 2018/02/19 掲載

「協働ロボット」は従来のロボットとどう違う?特徴や強み、最新事例からわかること

連載:世界のロボット新製品

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今回は、「2017国際ロボット展」で注目された協働ロボットを中心にその動向を分析する。ファナック、安川電機、デンソーら大手がこぞって出典した協働ロボット。従来の産業用ロボットと異なる、新たな市場を切り開くことができるのだろうか?そしてその特徴や課題はどこにあるのだろうか?
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サラダを盛り付ける恊働ロボット。人とロボットが肩を並べ作業をする日も近いか
(写真:筆者撮影)


国際ロボット展で大注目を集めた「協働ロボット」

 2017年11月29日~12月2日の会期で行われた「2017国際ロボット展」。この国際ロボット展は、2年に1度開催される世界最大規模のロボットビジネスショーである。会期中の来場者数は、13万人超。出展社数は、過去最高の612社となった。

 この過去最高に盛り上がる国際ロボット展で、目立っていたのが「協働ロボット」だ。この協働ロボットは、ロボット産業最大手のファナック、安川電機から、カワダロボティクス、デンソー、または、ロボットベンチャーのライフロボティクスまで、幅広い企業からの出展が見られた。

協働ロボットは「人と一緒に作業ができること」に強み

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 協働ロボットと呼ばれるものの最大の特徴は、その名の通り、人と一緒に作業ができること、働けることになる。

 逆に、従来の産業用ロボットは人と一緒に作業することはできない。なぜなら従来の産業用ロボットは、非常に大きな力を出すものが多いためだ。そのような、大きな力が出るロボットは、安全上、柵などで人と隔離された状態でしか作業することができないのだ。

 従来の産業用ロボットと比較して、恊働ロボットの特徴は大きく3つある。1つ目は、小型・軽量・省スペースで運用できること。2つ目は、大がかりな柵などの安全システムが不要で、どこでも運用できること。3つ目は、従来型に比べて、可搬重量が小さいことである。協働ロボットの可搬重量は、小さくて0.5kgから最大でも35kgのものが確認されている。

恊働ロボットは、従来型とはまったく異なるロボット

 協働ロボットは、従来の産業用ロボットに比べて、小型な非力なものと一見思われがちだ。だが実はそうではなく、コンセプトレベルから異なる、まったく新しいロボットと考えるべきなのだ。その違いを以下にまとめる。

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従来の産業用ロボットと協働ロボットの比較

 協働ロボットは、働く場所が多様だからこそ、まったく別のニーズも求められる。その中の1つに「力制御(トルク制御)」と呼ばれるものがある。位置制御は、ロボットのサーボ(制御装置)の目標値を位置または角度として制御を行うもの。力制御は、力覚センサーなどを用いて、力を目標に制御を行うものである。

ロボット活用の広がりが、恊働ロボット注目の背景

 協働ロボットに注目が集まるのには理由がある。それは、労働力不足を背景に、従来のフィールド以外にもロボットを活用しようとする試みが活発化してきたためだ。

 従来の産業用ロボットは、自動車産業や電気・電子産業を中心に使われてきた。これらの産業は、大規模資本で寡占が進んでいるため企業数も少なかった。また、このように限られた産業でしか使われていなかったがゆえに、ロボット自体の機能もまた、限定的で問題なかったのである。

 しかし現在、労働力不足が起き、ロボットの利用ができそうな産業へ広がりを見せ始めている。部品組み立てや、「三品産業」と呼ばれる食品、化粧品、医薬品産業、そして、物流、外食などのサービス産業だ。

 これらの産業は、自動車産業に比べて企業数も多い上にロボットに対するニーズも多様である。結果、今までにはなかったタイプの協働ロボットが必要になってきたということだ。

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広がっていく、ロボット活用のフィールド

「新しいロボット」だからこそ起きる、新たな課題

 ただ、ロボットが新しいフィールドに入れば、新たな課題も発生する。それらを、以下にまとめた。

恊働ロボット普及に向けた課題
1.対象物が均一でない(大きさ、形状、固さ)
2.ユーザー側にノウハウが無い
3.人が行う作業の自動化が困難
4.人に危害を加えない安全対策

 たとえば、お弁当の具を詰める生産ラインで考えてみよう。お弁当の中身は、工業製品ではないので、同じ具でも、大きな、形状,固さがバラバラだ。ロボットの運用は初めてで、ノウハウはもちろんない。今までは人の経験によって、生産性を維持している。加えて人と一緒に働く現場なのでロボットの安全性を担保する必要がある。

 このように、自動車産業や電気・電子産業から、ロボットの対象とする産業を増やすことで課題が噴出するわけである。

 その課題を解決する方法として、
1.対象物の認識と安定した把持
2.容易なロボットティーチングシステム
3.熟練作業者の動きの再現
4.接触検知と最適な制御
が、挙げられる。

 そのために必要といわれている技術が2つ。「力制御の進化」と「AIの活用」である。

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恊働ロボット普及に向けた技術活用

 では、次のページからは具体的に、恊働ロボット普及に向けた技術の活用事例を、国際ロボット展での展示を中心に見ていきたい。

【次ページ】AI、力制御で生きる「恊働ロボット」の最新事例
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