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  • 2018/04/18 掲載

なぜ世界中の自動車メーカーが「カーシェア」にこぞって投資するのか

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米ゼネラル・モーターズ(GM)が、今年夏にも個人間の車の貸し借りを同社がすでに行っているカーシェアリングのプラットホーム、Mavenで可能にする可能性があるという。フォードではこうした個人間のカーシェアリングサービスを既に実施している。さらにダイムラーとBMWというドイツの大手メーカーがカーシェアリングで提携へ、という動きもある。なぜ自動車メーカーはカーシェアリングへの参入に積極的なのか。
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カーシェアリングを主導するのは今や自動車メーカーだ
(©Patrick Daxenbichler - Fotolia)

カーシェアリングがいよいよ本格化

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 カーシェアリングとは、車を一定時間利用し、指定された場所に返却、使った分だけ利用料を払うというサービスだ。レンタカーとは異なり30分、1時間という短い単位で車を気軽に利用できる。最初は大学のキャンパス内、人気観光地などで始まったサービスだが、今や全世界に広がりを見せている。ウーバー、リフトなどのライドシェアサービスも、カーシェアリングの考え方から派生したものとも言える。

 初期のカーシェアリングの代表的な企業といえばZipcarだろう。2000年に米国で始まったZipcarは現在でも世界で2番目の規模を誇るカーシェアリング企業であり、2017年には1万1000台のシェア用車両を保有、利用会員数は76万7,000人に達する。ちなみに2017年の世界最大のカーシェアリング企業はドイツのダイムラー傘下のcar2goで、保有車両数1万4000台、会員数は250万人を誇る。

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 カーシェアリングの歴史を見ると、最初にこうしたコンセプトを発表し、実施したのは欧州だった。フランス、オランダなどにカーシェアリング会社が登場したが長くは持たなかった。その後も英国などにカーシェアリングが生まれたが、ポピュラーな存在にはならなかった。

 1980年代になりようやく世界各地、そして米国にもカーシェアリングの概念が広がり、1990年代はカーシェアリングの発展の時代、そして2000年からが本格的なビジネスの始まりと言える。

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米国におけるカーシェアリングサービスユーザー数の推移。2015年に減速するまで急成長を遂げた
(出典:Susan Shaheen at the Transportation Sustainability Research Center at the University of California, Berkeley)


自動車メーカーがカーシェアリングを主導するワケ

 Zipcarなどに人気が集まると、次にカーシェアリングに乗り出したのはレンタカー会社だった。Avis、Hertz、U-Haul、Enterpriseなどの大手が次々と参入したが、レンタカーの時間貸し、という概念であり参入しやすい環境でもあった。

 そして数年前から目立ち始めたのが自動車メーカーが主導するカーシェアリングだ。米国内だけを見てもトヨタがGetaound、ダイムラーがcar2go、GMがMaven、アウディがAudi Shared Fleet、BMWがReachNow、フォードがChariot、とそれぞれのカーシェアリングサービスを展開あるいは投資を行っている。

 カーシェアリングの本来のコンセプトは「利用したい時だけ利用する」というものであり、なるべくたくさんの車を売りたい、という自動車メーカーの考えとは相反するものだ。それなのになぜメーカーはカーシェアリングに興味を持つのか。

 一つにはカーシェアリングが今後も成長を続ける産業であること。マーケットリサーチ会社Navigantによるとカーシェアリング産業全体の収入は2015年には11億ドルだったが2024年には65億ドルに成長する見込みだという。これにウーバーのようなライドシェアを合わせるとその市場規模は2026年には1兆2000億ドルに達する。マーケットリサーチ会社Berg Insight社の予測では2020年には全世界のカーシェアリングの会員数は2600万人に達する見込みだという。

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世界のカーシェアリング産業(正確にはUberなども加えたRide-Hailing Services)の市場規模の推移(2017-2026)
(出典:Navigant Research)

【次ページ】カーシェアリングで得られるデータの価値
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