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- 2024/10/30 掲載
ついにお披露目テスラ「ロボタクシー」、普及実現で「社会を変える」と断言できるワケ
連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか
ついにお披露目テスラ「ロボタクシー」の実力
そんなテスラ、一般的には「EV専業」という印象が強いかもしれないが、企業の事業ポートフォリオを見ると、単にEVメーカーというだけでない、壮大な構想が伺える企業なのだ。その視点から見ると、今回のロボタクシーについても、同社の「単なる新製品」発表とは少し違ったポイントで捉えることができる。
テスラがEVメーカーとして、最初の市販車であるロードスターを発売したのは2008年のことである。これは、英国のロータスエリーゼを基に改造したEVで、テスラ独自の車体を用いたモデルSが発売されるのは2012年のことだ。
以後、モデルX、モデル3、モデルYと車種を増やし、現在の最新機種は、サイバートラックと呼ばれるピックアップトラックである。
モデルS以降に発売されたテスラ独自の車種は、いずれもモデルチェンジをしていない。だが、マイナーチェンジなどによって改良が加えられ、ことに無線通信によるOTA(over the air)の技術を用いた遠隔でのバージョンアップを可能にして以降、テスラのクルマはいつでも最新の新車と同じ仕様で使えるとしている。
昨年の販売実績でBYDがテスラを抜いたとされているが、それはプラグインハイブリッド車(PHEV)を含めた台数であり、BYDもEVのみの販売台数に限れば、テスラにまだ及ばない状況にある。
テスラが残した「圧倒的」な功績
このように、10年を超えてEV業界をけん引し、クルマにおける新しい価値創造に努めてきたテスラにおいて、現在の事業の中核がEVであることに変わりはない。だが同社は、自動車メーカーとしてEVの1本足で経営が進められているわけではないのである。たとえば、「スーパーチャージャー」と呼ばれるEV用の急速充電器の独自開発と、スーパーチャージャーを世界各地に設置して世界的な急速充電網を整備したという点も、過去の自動車メーカーとは大きく異なる新しい発想だ。
これまで130年を超えるエンジン車の歴史の中で、ガソリンスタンドの整備は自動車メーカーの責任ではなく、エネルギー関連企業の事業であった。しかしEVになると、自動車メーカーが深く関与する必要があることをテスラは示した。
テスラ以外の自動車メーカーは、テスラと同じような充電の基盤整備をほぼ実施していない。例外と言えるのは日産自動車で、初代リーフを日本で発売する際に、国内の販売店網に急速充電器を開発・設置することにより、顧客への充電不安を解消しようと努めた。
そのほか、東京電力が主体となって2019年に設立された企業e-Mobility Power(イー・モビリティパワー)が全国的充電網を担おうとしているが、従量性課金については実現できておらず、充電網整備においては道半ばと言える。
また近年では、ドイツのアウディが、チャージングハブと呼ぶ急速充電拠点の都市部への設置を欧州で進めており、日本でも今年4月に東京都千代田区の紀尾井町に開設されたが、これを全国展開していくという話はない。 【次ページ】自動運転を実現する「車載AI」のスゴさとは
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