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  • 2024/07/22 掲載

トヨタも不発だった「超小型EV」に新星登場、「元日産」技術者ら開発のヤバい実力

連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか

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通常の車両ではカバーし切れない用途への活用が期待される超小型モビリティ。電気自動車(EV)においても、これまでトヨタ自動車などから超小型車両が発売されてきたものの、社会に定着するにはなかなか至らなかった。そんな中で新たに期待を集めているのが、元日産の技術者らが開発した国産の超小型EVだ。これまでの超小型モビリティとは具体的にどう違うのか。モータージャーナリストの御堀直嗣氏が、試乗レポートとともに解説する。
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元日産の技術者らが開発した超小型EVとは
(写真:筆者撮影)

侮れない「移動」の重要性

 現代社会では、暮らしにおいて「移動」のための手段が担保されていることが非常に重要だ。

 大都市では、公共交通機関が発達しているため、移動の不便を感じる機会は限られるかもしれない。

 個人で所有する自転車も大切な移動手段の1つで、シェアリングサービスもある。さらに、電動スケートボードのシェアリングが急速に発展して利用者が増加しており、移動手段は車に限らず豊富だからだ。

 その一方で、郊外へ足を踏み入れれば、突如として自分で移動手段を考えたり手配したりしなければ、買い物や通院などにも不自由する住環境がある。

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暮らしにおいて移動手段が担保されていることは非常に重要だ
(Photo/Shutterstock.com)

 また、高齢者による交通事故の問題が社会的に注目され、運転免許証の返納が促され、暮らしに不安を覚える人々もいる。

 人が生きるために必要なものは、「衣食住」と言われるが、これに移動手段が加わらなければ生きてゆけないのが現代社会の実態なのだ。

なかなか「定着しない」超小型モビリティ

 そうした時代の変化を受けて、通常の車ではカバーし切れない範囲や用途に活用できる超小型モビリティや、その一種であるミニカー(総排気量20ccを超え50cc以下又は定格出力0.25kWを超え0.6kW以下の原動機を有する普通自動車)が生み出されてきた。

 ミニカーは、かつてはガソリンエンジンを使った乗り物で考えられたが、今日では、EVとしてモーターを駆動に使うことにより、容易に製造できる利点が注目されている。

 しかし実は、これらの車両は、これまで道路交通法が定める乗り物の規格の枠に当てはまる規定が明確でなく、ナンバープレートを取得できず公道を走れなかった。

 特例として、行政特区のような限られた地域で観光用や実証実験など目的を限定して使われる程度にとどまっていたのだ。

 その後、道路交通法に具体的な規定が示され、トヨタから超小型EVのC+pod(シー・ポッド)が発売されたのが2020年のことだ。当初は、法人や自治体などへの限定販売だったが、翌年から個人消費者へ向けたリースが開始された。しかし、街でC+podを見かける機会は極めて限られ、今夏、ついに生産を終了する予定となっている。

 こうした経緯もあり、ミニカーが存続したり、普及したりする可能性はあるのかとの疑問は、筆者自身にもあった。

 だが、ここにきて、ミニカーが人々の役に立つ機会や場が生まれるのではないかと期待させる1台に出会った。 【次ページ】「元日産」の技術者が携わる国産の「超小型EV」
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