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- 2024/10/24 掲載
シャープにとってEVが「最後のピース」だったワケ、すべてがリンクするエネルギー戦略
シャープ初のEVで提案「3つのつながり」、カギ握るのは…
シャープが発表した、同社初のEVコンセプトモデル「LDK+」(エルディーケープラス)には、「住空間、人、エネルギーの3つをつないで快適でサステナブルな暮らしを提案」というテーマがある。これら3つのつながりをシャープは以下のように提示している。1.住空間とのつがなり
家とセキュアな回線でつながり、家から離れたプライベート空間でありながら、隣の部屋にいるような利便性と安心感を提供。
2.人とのつがなり
AIが家の生活や車内での活動から好みを学習し、その人・そのシーンにあった温度や明かりを提案。
3.エネルギーとのつがなり
家とEVとの最適なトータルエネルギーマネジメントにより、快適かつ効率的に過ごせる生活場所を提案。
(引用:シャープ発表内容)
このうち「住空間」と「人」とのつながりという点では、これまで発表された数々のEVでも掲げられてきた内容だ。もちろんシャープ独自のAIoT(AIとIoTを組み合わせた技術)なども組み込まれ、シャープの事業を1つにまとめ上げる要素ではあるが、これ自体に目新しさはない。
一方で、3つ目の「EVをトータルマネジメントに組み込む」という考え方は、テスラなど一部のEVでは実現しているものの、日本では今後発展が期待される分野だ。この周辺にある要素技術を持つシャープにとって、エネルギーを巡るエコシステム構築は重要なテーマとなる。
シャープと提携「中部電力ミライズ」が語る2050年ビジョン
9月にシャープが開催したイベント「SHARP Tech-Day」の会期中に開催されたビジネスセッションには、中部電力ミライズと提携した「カーボンニュートラル社会に向けた取り組み」と題された講演があった。日本政府は「2050年までにカーボンニュートラルの実現」を打ち出しているが、それに向けてどのような取り組みが行われているかについての説明が、まず中部電力ミライズのカーボンニュートラル推進本部長である臼井太郎氏によって語られた。
臼井氏は、カーボンニュートラルに向けて電力会社とメーカーができることとして次の4つを挙げる。
- 省エネ
- CO2を出さない燃料による発電
- CO2を出さない電気への転換
- 電力利用率の向上、ロス削減
また、中部電力グループは経営ビジョンとして、2050年までに中部地域の最終エネルギー消費量を50%減少させ、発電電力量を20%増加させることにより、電化社会の実現と脱炭素を実現しつつ安心安全なエネルギー供給を行うことを掲げている。これを実現するには、上記の4項目のうち、特に4つ目の「電力ロス削減」が重要となる。だが、そのためには物流の地産地消といった考え方も必要となる。
電力会社側では、グリッドの高度化による電力ロス削減も課題となるが、一方でメーカー側に対しては屋根置き型の太陽光パネルの普及、さらなる省エネ家電や省エネ技術の推進が求められる。 【次ページ】“最後のピース”がそろったシャープの全社的な「エネルギー戦略」
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