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- 2015/08/31 掲載
みずほ銀行 齊藤哲彦 専務が語るFintech戦略、「非対面での先進性No.1目指す」
店舗以外の「非対面」チャネルの先進性ナンバーワンを目指す
「店舗を『対面』、それ以外を『非対面』としたとき、当行は、24時間365日オムニチャネル化により『非対面』チャネルにおける先進性ナンバーワンを目指している」
「非対面」チャネルの具体的な取り組みは、モバイル、デスクトップWeb、コールセンター、ATMに大別される。1点目はモバイルだ。モバイルアプリは、みずほ銀行のATM・店舗検索アプリとして2011年5月にリリースされた。リモートチャネル(モバイル)からリアルチャネル(店舗)への送客を目的としたもので、従来の2次元の地図情報から、AR(仮想現実)技術を用い、スマホのカメラ機能を使って、店舗までの距離や目印を3次元的に表示した。
「店舗だけでなく、コンビニ検索やバリアフリーが備わった店舗が検索できる機能を備えていたため、金融サービスとしてだけでなく、生活者向けのサービスとしてメディアなどに取り上げられた」
このアプリには、窓口の受付カード番号をアプリに入力すると、自分の受付番号が近づいてきたときに通知してくれる「窓口受付アラーム」機能などが追加され、その後も、スマホで免許証を撮影して送信すると、口座開設がネットで完結できる「スマートフォンかんたん口座開設アプリ」などが次々とリリースされている。
2点目はデスクトップWebでの取り組みだ。たとえば、インターネットバンキングにおいて、顧客の取引状況に応じたキャンペーン情報等のメッセージを「One to One」で発信することや、チャットで顧客をサポートする「みずほMessenger」などが取り組み例として挙げられる。
「みずほMessengerは、ホームページを閲覧中の顧客が困っているとシステムが自動判断した場合、チャットの招待画面が表示され、チャット(テキスト入力での会話)で相談できるものだ。月間2,000件くらいの利用がある」
肥大化するFAQのマニュアルをスリム化する
「音声認識技術を用い、顧客からの入電内容をテキスト化する。それに対し、Watsonが適切な回答を抽出してオペレーターに返す。たとえば、ATMというキーワード、24時間というキーワードから適切な回答を抽出できることができる。これにより、肥大化するFAQのマニュアルをスリム化することができた」
また、Watsonの学習機能により、優秀なオペレーターのノウハウを短期間に学習、習熟することが可能で、「人のオペレーターを育成するのに比べ、短期間で育成が可能で、かつ回答の精度があがった」という効果があった。
4点目はATMだ。イオングループとの提携による共同ATMの設置により、同行は全国で6,700拠点のATMを構える。また、ATMのUIの高度化にも取り組んでいる。
「VOC(顧客の声)分析やグループインタビューなどを通じ、例えば、ATMの取り消しボタンの配置が悪く、操作中に袖が触れて取り消しになってしまうといった改善点を解消した。こうした取り組みが評価され、金融界では初となる、実利用者研究機構が認定する『使いやすさ検証済認証』を取得した」
【次ページ】みずほはFintechにどう取り組んでいくのか
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