- 2024/12/21 掲載
バブルか実需か? 10万ドルを超えたビットコイン価格はさらに上がるのか?
トランプ氏はビットコイン業界から多額の献金を受けた
米大統領選においてトランプ氏が再選された場合、ビットコイン市場がある程度、盛り返すことは以前から予想されていた。トランプ氏は大統領選に際して、ビットコイン業界から多額の献金を受けており、当選後はビットコイン規制を緩和する方針を表明していたからである。実際、トランプ氏の大統領就任が決まると、7万ドル前後だったビットコインは急騰し、一時は10万ドルを超える状況となった。トランプ氏は当選後、SEC(米証券取引委員会)の委員長にポール・アトキンス氏を指名したが、同氏は金融規制強化に反対する立場であり、その方針はビットコインについても同様と考えられる。
ちなみに現在、SEC委員長を務めるゲイリー・ゲンスラー氏は、ビットコインに対して厳しい姿勢で知られており、仮にアトキンス氏が委員長に就任した場合、ビットコインに対する規制は大幅に緩和される可能性が高い。加えてトランプ氏は、内国歳入庁(IRS)が押収したビットコインについて国家備蓄を行うアイデアを示すなど、より踏み込んだ発言も行っている。
ビットコインに対しては、2024年1月にSECがビットコインを裏付け資産とする上場投資信託(ETF)の上場を承認するなど、徐々に金融システムへの参加が進んでいる状況ではあった。ここで規制がさらに緩和されれば、年金基金など機関投資家がビットコインを保有する機会は増えてくると予想される。
では、一連の規制緩和によってビットコインが新しい通貨として一気に台頭するのかというと、おそらくそうはならないだろう。その理由は、トランプ氏の規制緩和の程度にもよるが、基本的に決済・送金手段としての役割は事実上、封じ込められた状態だからである。
海外送金や決済については封じ込められた状態が続く
ビットコインが登場した当初は、法定通貨に代わる国家が管理しない新通貨として大きな期待を集めたという経緯がある。実際、ビットコインは洗練された設計がなされており、金本位制的な概念も内包されるなど、相応の価値が見込める技術といえる。一方で、こうした高い潜在能力は通貨当局や金融機関からすると脅威となる。実際、各国の通貨当局は決済や送金に関する部分において神経を尖らせ、各種の規制を加えることで、事実上、その機能を封じ込めた状態となっている。
たとえば、日本国内でビットコイン事業者を通じて口座を開設し、ビットコインを購入することはできるものの、売却した場合には、原則として日本国内の口座に戻し、国内で税金を支払う必要がある。海外送金を行うには、氏名や住所などの情報を相手方事業者に通知する必要がある。また日本国内であっても、システムの仕様が異なる場合には、自由に送金できないケースがある。 【次ページ】インフレが進むと再注目の可能性
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR