- 2024/12/21 掲載
バブルか実需か? 10万ドルを超えたビットコイン価格はさらに上がるのか?(2/2)
一方で、自国内において同一事業者内で取引が完結するならば、ビットコインを購入したり売却することは多くの国で可能となっている。決済・送金としての機能はともかく、資産保全という機能については活用できる状況にある。
仮に米国でビットコイン規制が緩和されれば、ビットコインを組み込んだ金融商品の組成などが促進されるため、資産保全や投資対象としてのビットコインの魅力は高まるだろう。
一方で、トランプ政権であっても、海外送金なども含めた、通貨当局や銀行の権益を著しく脅かす緩和まで踏み込む可能性は低い。さらに言えば、米国が単独でそうした規制緩和を行ったとしても、他国の規制が残っている状態では、一連の機能は発揮できないだろう。
インフレが進むと再注目の可能性
そうなると、ビットコインは引き続き、各国の税制や規制に基づいて自国の経済圏のみで売買が行われる形となり、決済や送金ではなく、資産保全手段としての役割が大きくならざるを得ない。そして、資産保全手段としてのビットコインについては追い風が吹いている。最大の理由は、全世界的にインフレが進んでおり、貨幣価値の下落が著しいことに加えて、トランプ氏がインフレをさらに悪化させるような政策を矢継ぎ早に打ち出しているからである。
各国はリーマンショックへの対応から、大規模な量的緩和策を実施した。米国はある程度、正常化が進んでいるものの、日本は依然として大規模緩和策を継続中である。大規模緩和策というのは、マネーを市中に大量供給し、貨幣価値を下げるという政策なので、当然のことながら物価は上昇を続けることになる。このところ金価格が上昇しているのもこうした大規模緩和策の影響と言って差し支えない。
ロシアのウクライナ侵攻については停戦の可能性が見えてきているものの、中東情勢はむしろ悪化しており、インフレは簡単には収まりそうにない。こうしたところにトランプ氏の政権返り咲きが決まり、トランプ氏は中国からの輸入に高関税をかけたり、不法移民を強制退去させるなど保護主義的な政策を次々と打ち出している。
これらの政策はすべて物価を上昇させる作用をもたらすため、米国ではせっかく沈静化の兆しが見えたインフレが再燃するとの懸念が高まっている。
こうした政策の副作用についてトランプ氏が認識しているのかどうかは不明だが、インフレが進んだ場合、多くの資産家が不動産や金などへの投資を進める可能性が高い。その流れのひとつとして、金融商品との連動が強化されたビットコインに対して、逃避資金の一部が流れる可能性はそれなりに高い。
しかしながら、一連の動きはあくまで資産保全を目的としたものであり、以前のような過度な期待感から生じる投機とは少し違ったものとなるだろう。今後、ビットコイン価格がさらに上昇するシナリオがあるとするならば、それは ビットコインそのものへの期待感というよりも、ドルや円、ユーロなど既存通貨の価値棄損に由来するものである可能性が高い。
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