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- 2024/11/30 掲載
ビットコインが大暴騰、「儲けまくった」国は今後どうなるのか
国家のビットコイン保有、トランプ再選で新たな展開へ
暗号通貨市場は、ドナルド・トランプ氏の大統領再選により大きな転換点を迎えようとしている。2024年11月の大統領選で勝利を収めたトランプ氏は、米国を「暗号通貨の中心地(crypto capital of the planet)」とし、ビットコインを「恒久的な国家資産(permanent national asset)」とする方針を打ち出した。これを受け、ビットコインの価格は1週間で20%上昇し、9万3,000ドルの史上最高値を記録。時価総額は1.8兆ドルに達し、金やアップル、マイクロソフト、アマゾン、グーグルに次ぐ世界第7位の資産となった。
これを受け、米国では2025年1月に発足するトランプ新政権下で、新たな暗号通貨関連法が導入されるとの憶測が広がっている。
この動きに呼応するように、ペンシルベニア州では「ビットコイン戦略的準備法案」が州議会に提出された。2024年11月14日、米フォックスビジネスが独占報道として伝えたところによると、同法案は州が保有する約70億ドルの資金のうち最大10%をビットコインに投資することを可能にするもので、インフレ対策と投資の多様化を目的としている。法案を提出したマイク・キャベル下院議員は、ビットコインを準備資産として統合することで、インフレの影響から州の財政を保護し、金融の強靭性とイノベーションにおけるリーダーシップを確立できると説明している。
現在、世界の主要国によるビットコイン保有状況を見ると、トップは米国で、約20万7189ビットコインを保有。これは全ビットコインの約0.987%に相当し、金額にして約189億ドルとなる。次いで中国が約19万4000ビットコイン(約177億ドル)、英国が6万1000ビットコイン(約56億ドル)を保有している。続くウクライナが約4万6351ビットコイン(約42億ドル)、ブータンが約1万3029ビットコイン(約12億ドル)、エルサルバドルが約5939ビットコイン(5億4,400万ドル)となっている。
CoinSharesのアナリストは、トランプ政権下での暗号通貨法の成立は、ビットコインが戦略的準備資産として位置づけられ、正当な価値保存手段として地位が確立される大きな転換点になると指摘。これにより機関投資家からの資金流入が加速する可能性があるとしている。今年に入ってからの機関投資家からの資金流入は290億ドルに達しているものの、より広範な金融市場での採用は限定的な状況が続いている。トランプ新政権によりこの状況が打破されるとの期待が高まっている。
エルサルバドル、ビットコイン保有量は5億4,400万ドル相当に
世界で初めてビットコイン投資を公式に表明したのはエルサルバドルだ。2021年にビットコインを法定通貨として採用、その後ビットコイン価格が下落/低迷期にあった2022年頃に投資を開始した。このため、しばらく含み損を抱える状況が続いたが2023年末に黒字転換した。2024年11月19日時点で5939ビットコイン(5億4,400万ドル相当)を保有しており、ビットコイン価格が9万ドルまで上昇したことで、含み益は1億ドルを超えたと報じられている。同国ブケレ大統領の積極的なビットコイン政策は、国内経済にも波及効果をもたらしている。就任2期目に入って間もない大統領は、国営ビットコイン銀行の設立を提案。さらに、野心的な「ビットコイン・シティ」プロジェクトは、Yilport Holdingから16億ドルという同国史上最大の民間投資を引き寄せることに成功した。この成果を受け、エルサルバドルは25億ドルのドル建て国債の買い戻しを提案。トランプ氏の大統領再選以降、同国の国債利回りは4.7%上昇している。
現在、エルサルバドルのビットコイン保有額は、同国GDPの約1.5%に相当する規模だが、米国の動きやビットコイン価格上昇などの要因により、今後さらに拡大する可能性もある。
一方、エルサルバドルが暗号通貨分野におけるリーダーとして存在感を示すには、まず国内におけるビットコイン普及の課題を克服する必要が指摘されている。
同国は「ビットコインと引き換えにパスポートを発行する」取り組みを実施しているが、現時点で目立った成果を上げていない。ブケレ大統領自身も、国内でのビットコイン普及については、まだ道半ばであることを認めている状況だ。 【次ページ】ブータン、水力発電を活用したマイニングで11億ドルを保有
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