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- 2024/09/27 掲載
これから「円高」はどれだけ進むのか? 目の前の「総裁選と為替」の関係をやさしく解説
日本側は政治的要因で動きにくくなった
2021年以降、外国為替市場では一貫して円安が続いており、一時は1ドル 160円を突破する状況となった。激しい円安は輸入物価の高騰を招き、多くの国民が生活苦を感じている。一方、円安は輸出産業にとって有利になるので、一般的には日本経済にとってプラス材料とされる。近年は円安がそれほど企業業績に好影響を与えなくなってきているとはいえ、円安=株高、円高=株安というイメージは依然として根強い。過去2年の円安については、基本的に米国と日本の金利差が要因と説明されている。金利を上げて金融正常化を進めたい米国と、ゼロ金利を維持し、大規模緩和策を継続する日本との違いが際立ち、これがドル買い円売りを誘発するというメカニズムである。7月をピークに円高に戻す動きが顕著となっているのは、日銀が本格的に政策転換を行う兆しが見え始めており、日本の金利が上昇する可能性が高まっていることに加え、米国の利下げが進むとの見方が台頭してきたからである。
実際、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の利下げを決めており、年内にもう1回の利下げが予想される。つまり米国では利下げ、日本では利上げ観測が高まっており、日米金利差の縮小が予想されることから、為替が円高に振れている図式だ。
もっとも、日銀は金融正常化に舵を切ったとはいえ、米国並みに急ピッチで利上げする選択肢はない。国内では総選挙を控えており、政権が安定するまでは日銀も思い切った決断はできないだろう。そうなると、当面は状況を見ながら小出しの政策とならざるを得ず、今後の為替は米国の動きが鍵を握る。
では実際のところ米国の景気と金利の見通しはどうなっているのだろうか。
近年は、米国市場もかつてのような厚みと安定感を失っており、短期的な見通しで相場が上下する不安定な相場が続いている。本来、金利というのは長期的なマクロ経済動向を反映するものであり、中央銀行がコロコロと金利水準を変えるということは通常、あり得ない。
それにもかかわらず、市場関係者はFRBが利下げすると見るや大騒ぎして株価が上がり、今度は予想されたペースで利下げが行われないことが分かると一気に下落に転じるなど、かなり子供じみた相場展開となっていた。今回、為替市場が急激に円高に振れているのも、FRBが今後、急ピッチで 利下げするとの期待感が先行した面が否定できない。
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