- 2025/01/18 掲載
日銀「超重要点」は「合格」、1月利上げがわかる3つの注目点
【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
1月の金融政策決定会合で利上げはあるのか?
1月14日に実施された氷見野副総裁が実施した講演に、1月の金融政策決定会合での利上げの核心を突く情報は含まれていなかった。しかし、12月会合以降に得られた情報は、日銀支店長会議で良好な賃上げ環境が確認されたほか、毎月勤労統計では名目賃金がしっかりと上昇するなど利上げを正当化するものが多い。また「空白期間」も重要だ。日銀が「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」という基本方針を崩さない以上、2024年7月の前回利上げから半年以上時間を空けてしまうのは得策ではないだろう。
利上げ観測が大幅に剥落することで過度な円安を招き、金融政策の自由度が低下してしまう恐れがある。筆者は1月の金融政策決定会合で利上げがあると予想する。
氷見野副総裁の講演の3つの注目点
氷見野副総裁の講演で市場関係者の耳目を集めたのは以下の3点だった。- (1)「来週の金融政策決定会合では、『展望レポート』にまとめる経済・物価の見通しを基礎に、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断したいと思います」
- (2)「強い業況判断、高い水準が続いている企業収益、歴史的には低い水準にある労働分配率、人手不足、転職の活発化、最低賃金の引き上げなどからすれば、(今年の賃上げ率は)2024年度に続いて強い結果を期待できるのでは、と願っております」
「先週開きました私どもの支店長会議でも、全体的に強めの報告が多く、特に、今後の継続的な賃上げを中期経営計画に盛り込むこととした企業についての報告が複数の支店長からあったのが印象に残りました。各種アンケート調査でも、賃上げ予定先比率や賃上げ率は、前年並みないし前年を上回る結果が多いようです」 - (3)「毎回の金融政策決定会合の結論について、事前に市場に完全に織り込んでもらえるようにコミュニケーションをとるべきだ、ということにはなりません」
「経済の動向よりも日銀の言いぶりの変化ばかりに市場の注目が集まることになりかねず、それも決して望ましいこととは思いません」
(1)は、中央銀行のある種のお作法であり、利上げを検討するという当然のことを宣言したにすぎない。ただし、2024年度と25年度の物価見通しが上方修正されるとの報道(ブルームバーグ)もあり、この点は利上げを後押しする。報道によれば、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因で、円安や原油価格上昇も押し上げ要因になるという。
物価見通しの上方修正に合わせ、政策金利を引き上げるというのは、お作法的にも都合が良い。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR