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- 2018/05/28 掲載
一帯一路とは何か? わかりやすく中国の経済構想を解説する
一帯一路とは何か?
一帯一路とは、今後、数十年かけて、これらの地域に道路や港湾、発電所、パイプライン、通信設備などインフラ投資を皮切りとして、金融、製造、電子商取引、貿易、テクノロジーなど各種アウトバウンド投資を積極的に進め、当該経済圏における産業活性化および高度化を図っていくプログラムのことである。英語では、Belt and Road または One Belt One Road Initiativeと記載されるため、B&Rなどと略されることもある。
つまり、一帯一路は、全体では複数の「経済回廊」から構成される複雑かつ多元的なプログラムなのである。
これを踏まえて中国の各都市も、たとえば重慶は戦略ハブ、西安はシルクロード経済ベルトの中心ポイントなどといったように、それぞれ役割を担うに至っているという。
なぜドイツやオランダ、シンガポールなどが参加?
2013年にスタートしたこの一帯一路構想に、中国政府は近年ますます力を傾けている。たとえば2016年には中国共産党 第13次5カ年計画で採択され、2017年には国際協力を意図した第一回B&R(一帯一路)フォーラムが開催された。こうした中国の動きに世界各国の反応はどうなのか。黄氏は「欧州を始めとする世界各国からもポジティブな反響が寄せられている」と指摘する。
たとえば、一帯一路構想に参加する国としては、333億米ドルの財政支援を行うと約束した英国、一帯一路の共同建設に参加する準備を整えているオランダなどが挙げられる。ドイツやシンガポール、ポーランド、タイといった国々も連携や投資を表明している国だ。
また特に重要な地域としては東南アジア(ASEAN)と中欧、東欧(CEE)が挙げられるだろう。中国との貿易額や資本関係、人口流動から換算した中国連携指標によれば、すでにその上位にASEANやCEE内の国がランクインしているという。
一帯一路は中国が始めた広域経済構想ではあるが、経済や機会の共有が目的であり、世界にとってよいものであるべきだという考えが中心にある。「それを中国がリードしているだけのことで、言語やインフラなど既存の中国文化を押し付けようというものではない」(黄氏)ということも各国の前向きな動きにつながっていると言えそうだ。
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