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  • 2017/03/06 掲載

チャットボットなどの仮想アシスタント(VCA)導入、成功の7か条をガートナーが解説

仕事を5割奪う!?

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iPhoneに備わっているSiri、あるいはAndroidのGoogle Nowといった「仮想顧客アシスタント(VCA)」がその利用領域を広げている。たとえば、マイクロソフトの女子高生AI「りんな」がアパレルブランドのWEGOでファッションアドバイスをしたり、ライフネット生命ではLINEやFacebook Messenger上で自動の保険診断・見積もりをするようになってきた。ガートナーは、2020年までに顧客サービスやサポート業務の25%にVCAが導入されるとの予測を発表しているが、企業はこれから仮想顧客アシスタントを具体的にどう導入していけばいいのか。ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストのマイケル・マオズ氏が解説する。
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国内でも仮想顧客アシスタントの導入は相次いでいる
(© zapp2photo – Fotolia)


仮想顧客アシスタント(VCA)とは何か?どう機能するのか?
(1)企業や組織に代わって行動する
(2)会話を代行することで会話へ参加する
(3)情報を提供し、顧客に代わって行動する
(4)トランザクションを実行する

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仮想顧客アシスタントの仕組み
(出典:ガートナー)


(※ガートナーの定義)

「仮想顧客アシスタント」のもたらす変化と未来

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 仮想顧客アシスタントの機能は、現在のAIの急速な進歩で容易に実現されると思われがちだ。だが「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017 」に登壇したマオズ氏は、「実際のところ、AIはまだそんなに賢くない。たとえば京都の位置やどんな経路があるかは答えられても、『私は京都に行った方がよいですか?』といった相談や向こうからの提案のようなやりとりは難しい」と語る。

 とはいうものの、そうした機能を実現するに十分なデバイスはすでに存在している。それらを使って、今後何をするのかを考えていくべきだと主張する。

 仮想顧客アシスタントは、すでに2000年頃にはマイクロソフトによる第1世代が発表されていた。これは非常にシンプルだったが、時代を追って機能の高度化・複雑化が進み、2017年には第7世代と呼ばれる、感情検知やタスクの模倣、トランザクション対応、相手に応じた最適な対応が可能な、パーソナライズされたエンゲージメントなどの機能を実現するまでになっている。

 この成果はAIの力の賜物だが、ここでもっとも重要なのは「感情」だ。生身の顧客に応対するには、既定のビジネスルールに沿っているだけでは不足する。相手が重要な顧客であるとか、気難しい場合にはその人ごとに対応を変える必要もある。

「それも現代のテクノロジーを使えば可能だ。人間の担当者のように、相手が怒っているか、リラックスしているかなどをその場で判別し、状況に応じた対応ができるようになる」

 また、一口に仮想顧客アシスタントといってもさまざまなタイプがある。従来型の検索機能やスマートなスペシャリスト/チャットボット、IBMのワトソンのような汎用プラットフォーム、そしてカスタムメイドのソリューションなどだ。

 マオズ氏自身、最近ではGoogle Nowが手放せなくなっているという。これはグーグルの仮想顧客アシスタントでAndroidのモバイル端末からインタラクティブに情報を引き出したり、検索が行えるというものだ。

「現在はまだパーソナルな使い方が主体だが、将来的にAIがビジネスに関する情報を手軽にインタラクティブに提供してくれたらどんな変化が起こるだろうか。顧客のニーズを仮想顧客アシスタントがやりとりの中から抽出して、そこに応じたサービスや情報がデバイスからもたらされる。そうした近未来に向けて、すでに多くの著名な企業が仮想顧客アシスタントの研究開発を進めている」

世の中にある職業の半数が仮想顧客アシスタントに代わられる

 この先、顧客サービスの現場に仮想顧客アシスタントが導入されていくことで、人の職業にも大きな変革が訪れてくる。

 ガートナーが数年前に行った緊急調査では、米国内に限らず、現在世の中にある職業の約50%が、今後仮想顧客アシスタントに取って代わられるとの結果が出ている。アマゾンが人手による商品ピックアップ作業をロボットで代替し、物流倉庫の完全自動化を進めている例はよく知られているが、今後はあらゆる業種や職種がこの方向に向かっていく。

「会計士や秘書、融資担当者から郵便作業員といった業務までが、AIに取って代わられるだろう。“一問一答”のような対応や回答で済むものは、すべてだ」

 こうした劇的な変化がビジネスにもたらすメリットとは、どのようなものなのだろうか。それは、私たちがAIによって代行可能な単純作業から解放され、本来人間の得意とする高度な思考や推論、対話や提案を活かせる分野に注力できることだとマオズ氏は示唆する。

 まず顧客にもたらされるのは、企業や店舗の対応のスピードアップや満足度の向上だ。一方企業にとっては、これまでカバーできなかった顧客層に対して、アップセルやクロスセルにより多くの時間をさいてアプローチすることも可能になる。

 従業員の満足度も向上する点は見逃せない。ある調査によれば、世界平均でおよそ70%の社員が仕事に不満を抱いているという。それが仮想顧客アシスタントの活用で単純作業が減り、より創意工夫の求められる分野に注力できるようになった結果、顧客満足度の向上や売上アップなどの成果が得られ、働いている人間にもプラスの影響がもたらされるというわけだ。

【次ページ】仮想顧客アシスタントを成功に導く7か条
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