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- 2022/09/07 掲載
アマゾンの広告事業の成長率「絶対王者グーグル超え」、なぜ販売と広告の両輪が有効か
米デジタル広告市場の構造
米国のデジタル広告市場は、2,000億ドルを超える巨大市場。この市場で長らく最大シェアを占めてきたのがグーグルだ。Insider Intelligence/eMarketerは2021年10月時点で、2021年の米デジタル広告市場は、広告支出ベースで前年比38%以上の増加となり、2,000億ドルを超えると予想していた。
そのうち、「絶対王者」グーグルの市場シェアは2021年、28.6%と30%近い値だ。
一方、グーグルの市場シェアはこの数年、競合企業の追い上げにより下落傾向にある。
2019年の市場シェアは31.6%だったが、2020年に28.9%、2021年に28.6%に下落。また2022年に27.7%、2023年に26.4%とさらに下がることが予想されている。
グーグルのデジタル広告市場シェアが下がっている要因はいくつかあるが、中でもアマゾンの追い上げにある。
米国のデジタル広告市場の構造は、グーグルを含めた3社が2/3を占める状況。その3社とは、グーグル、メタ、アマゾンだ。残りの1/3はその他企業となる。
2番手となるメタのシェアは、2019年に23.6%、2020年に24.9%、2021年に23.8%と大きな変化はない。その他企業のシェアは、2019年に37%、2020年に35.9%、2021年に36%と若干下落傾向となっている。
そんな中でアマゾンのシェアは2019年、7.8%にとどまるものだったが、2020年に10.3%、2021年11.6%に増加。また2022年には13.3%、2023年には14.6%と拡大が継続すると見込まれている。
米国のデジタル広告市場は、2021年の2,110億ドルから2023年に2,700億ドル、2025年には3,150億ドルに拡大するとみられている。アマゾンは、デジタル広告市場全体が拡大する中で、シェアを大きく広げることになり、収益も大幅に増える見込みだ。
アマゾンの広告事業の成長率、グーグル、メタ超え
デジタル広告市場でのプレゼンス拡大が予想されるアマゾン、2022年4~6月期決算にも広告事業の好調ぶりが反映されている。今期アマゾンの広告収益は、87億6,000万ドルと前年同期比で18%増となり、景気減速の影響を受ける競合を尻目に好調ぶりを示した。
18%増という成長率は、スナップの13%増、グーグルの12%増、ピンタレストの9%増、ツイッターの2%を超え、主要企業の中ではトップの数値。一方、フェイスブックは、同社初となるマイナス1.5%の収益減を計上した。
2021年通年の数値からもアマゾンの広告事業の好調ぶりをうかがうことができる。
アマゾンが2022年2月に発表した決算報告によると、2021年の広告収益は312億ドルと前年比で32%増加したことが分かった。同時期、競合他社の広告収益は、マイクロソフトで100億ドル、スナップで41億2,000万ドル、ピンタレストで25億8,000万ドルだった。
アマゾンの2021年10~12月期決算によると、同社の最大事業はオンラインストアで、当期全体の売上高1,374億ドルのうち、660億ドル(48%)を占める結果となった。次いで、コミッション、フルフィルメント/出荷などを含むサードパーティセラーサービスが303億3,200万ドル(22%)、AWSが177億8,000万ドル(12%)と続く。
広告事業は4番目となる規模で、全体における割合は7%ほど。2022年4~6月期の成長率で見ると、AWSと広告事業が好調で、ともにアマゾンの成長エンジンとして注目されているところだ。
【次ページ】広告と販売、アマゾンの強み
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