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- 2016/07/26 掲載
Pepperはこうやって人間に近づく(2/2)
ソフトバンクロボティクス主催「UXデザインワークショップ」レポート
ロボットの言葉に意味と意図を持たせる
4つ目の「意味と意図を持たせる」は、「なんのために聞いているのか」という、会話の中に意味と意図を持たせることの重要性をワークショップで確認。ワークショップの内容は、参加者に1~50までの番号がふられたカードが配られ、「より番号の少ない人はおとなしい趣味を持っている」「より番号の大きい人は活発な趣味を持っている」と仮定し、各人は架空の趣味を表明し、話し合い、自分の趣味と近い人同士でペアを組み、最後に番号を見せ合う、というもの。
5番のカードを持った人の趣味が読書であったり、15番のカードを持った人が映画鑑賞だったりと乖離がある一方で、6番、7番ともに楽器演奏という見事なペアが成立するなど、「おとなしい」「活発」という言葉の定義に、各人でかなりの開きがあることを理解した。
趣味は何かという表面的な情報収集に走るのではなく、「どんな意味や意図で、その趣味を持っているのか」までを知ることで、相手との意識の摺り合わせが成立する。ロボットと人間との対話においても、「なんで聞いているのか?」「なにを意図して聞いているのか?」が抜け落ちていると、人間に違和感を与えてしまう。「いまはロボットが珍しいので人は進んでロボットと会話するが、近いうちにそれが成立しなくなる。意図や意味を持たせることが、ソフトウェアの優劣のポイントになる」と指摘。
最後に、東京藝術大学が手がけるロボットの教育や芸術への世界的な取り組み、今後の展望を、力石武信さんが発表し、2時間のワークショップは熱気に包まれながら幕を閉じた。
Pepperプログラマー向けのレクチャーにコーディングの話はいっさい出なかったものの、Pepperプログラミングの可能性に非常に大きなヒントをもたらしてくれたワークショップだった。
そのためには、イメージや言葉をユーザーと共有し、ユーザーとの違和感のない関係性を築くこと。Pepper(およびロボット全般)のプログラマーに突きつけられた共通の課題である。そうした大きなテーマを視野にもたらしてくれた、重要なワークショップであった。プログラマーにパラダイムシフトをもたらすこうした機会が、これからも増えてくることを願っている。
1962年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。1995年『東京ノート』て第39回岸田國士戯曲賞受賞。1998年『月の岬』で第5回読売演劇大賞優秀演出家賞、最優秀作品賞受賞。2002年『上野動物園再々々襲撃』(脚本・構成・演出)で第9回読売演劇大賞優秀作品賞受賞。2002年『芸術立国論』(集英社新書)で、AICT評論家賞受賞。2003年『その河をこえて、五月』(2002年日韓国民交流記念事業)で、第2回朝日舞台芸術賞グランプリ受賞。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス国文化省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。近年は、ロボット演劇プロジェクトを指導するなど、多彩な活動を続けている。
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