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- 2016/05/30 掲載
「ソフトバンクのマジシャン」直伝! 業務で使える手品の心理学的テクニック
連載:ソフトバンク人材開発の秘密 vol.9
<連載一覧>
ソフトバンク エバンジェリストの中山五輪男氏を目指し、知恵マルシェを主催
矢野氏:ソフトバンクの法人第八営業本部アカウントサービス統括部という、直販営業の部署に所属しています。主に、ソフトバンクの携帯電話をお使いの法人のお客様に対し、快適にご利用いただくためのフォローから、コスト削減につながるサービスのご案内、業務効率化につながる新しい商材のご提案まで、幅広く営業活動をしています。
――手品のノウハウを業務に活かす知恵マルシェを主催なさったとのことですが、手品歴はどれくらいになるのでしょうか?
矢野氏:高校時代に「奇術部」という手品の部活に入り、それから手品歴は14年です。手品の醍醐味は、やはり人を驚かせることです。人を楽しませる場面は、普通に生活していても多いですが、人を驚かせる機会は滅多にありません。手品は老若男女、誰もが楽しめますし、やって見せるとワッと驚いてくれます。そこがモチベーションですね。手品がきっかけでネットワークが広がることも多々あり、手品がきっかけで飲み会に誘われることもあります。
――知恵マルシェを主催しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
矢野氏:以前、社外向けセミナーを企画・運営する業務に携わっていたとき、当社 エバンジェリスト 中山五輪男のセミナーを担当することがありました。講演を後ろで聞いていると、話し方やジェスチャー、話の緩急などが抜群で、誰に対してもわかりやすく「伝わってくる」ことに感動しました。自分も中山さんのように「伝える」ことができたらと、社員発信型の学びの場である知恵マルシェを主催したいと思うようになりました。
しかし、知恵マルシェでシェアできるコンテンツは「業務に活かせるもの」です。手品は業務に直接関わるものではないので、手品をコンテンツとした知恵マルシェは主催できないと思っていました。そんなときに、人事から「手品で用いる心理学を業務に結びつけられれば開催できる」と助言を受けました。確かに手品をやるときは、話をすることが多く、言葉で人を誘導させることもあります。手品のテクニックを業務に活かす、ということなら面白い内容にできると考えました。
矢野氏:これまで知恵マルシェを7回ほど開催しました。参加者は、年齢もバラバラで、営業も技術も総務も財務も広報も、さまざまな部門の社員が参加しています。
各回の知恵マルシェでは、最初に自己紹介をした後、手品を10分ほど披露します。その後、「タネ自体は難しくないのに、なぜ手品に騙されてしまうのか」という心理学的な側面から、手品で使われているテクニックの解説を1時間半かけて行います。
マジシャン界には、「手品という漢字には『手』が1つに対して、『口』が3つある。手の3倍、口を動かせ」という教訓があります。つまり、マジシャンは手先の技術だけでなく、言葉による誘導・雰囲気作りで、人を驚かせ、且つ楽しませているのです。
ゴールは参加者が心理学的テクニックを活用できるようになること
――知恵マルシェで参加者に学んでほしかったことは何ですか?矢野氏:心理学的テクニックを理解してもらうことです。私が知恵マルシェで紹介した4つの心理学テクニックのうち、1つでも参加者自身が活用できるようになる、これがゴールです。
紹介したテクニックに「テンションリダクション効果」というものがあります。これは、緊張を緩和させるテクニックです。たとえば、よくマジシャンは手品をする際、一度、失敗することがあります。実はこれはわざと失敗しているんですよね。そうすれば、観客の警戒心がほんの一瞬緩みます。その瞬間に、マジシャンはトランプをすり替えたり、コインを隠したり出したりしています。実際に、知恵マルシェのオープニングのマジックの際、コインを観客の一人の「手の上」に置いてからコインマジックを披露しましたが、誰も気づきませんでした。
このテクニックは、マジック用語では「ミスディレクション」とも言います。これで手品のタネが見破られにくくなるわけです。これは日常生活の中にも見受けられる現象です。たとえば「Yahoo!ショッピング」などで買い物をした後、ページ内に「関連商品」が表示されたりしますよね。そしてついつい見て、買ってしまう。なぜかというと、買い物の後の安心感で、警戒心が薄れるからです。このテクニックを業務で応用するとしたら・・・例えば、「雑談」などがそれに当たりますね。いわゆるアイスブレイクです。商談でも、社内会議でも、緊張感は大事ですが、それだけですと本音は出にくいです。まずは雑談などの雰囲気作りで緊張を緩和させることで、会話が広がり、潜在的な課題を発見しやすくなります。
また、アイデアを出すような業務の際も、リラックスするのが良いですね。よくシャワーを浴びたり、散歩したりしているときに、思いがけないアイデアが生まれることがありますが、これはストレスがない環境で「考えていない」からこそ生まれます。これらのように、「テンションリダクション」は業務で使えるテクニックです。
【次ページ】「ソフトバンクのマジシャン」が語る手品が実務に役立つ場面
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