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- 2022/01/25 掲載
ソフトバンク・ビジョン・ファンド日本2号案件はなぜ「スニーカーのC2C」だったのか
前編はこちら(この記事は後編です)
一夜にして突然ダメに、不透明な状況で先行きをどう見極めるべきか
2021年6月に開催された株主総会で、ソフトバンクグループの代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義は「ソフトバンクグループとは、情報革命の資本家である」と説明しました。特に情報革命の最先端であるAI(人工知能)を使った情報革命に注力しています。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)とは、それを実践するプラットフォームに位置付けられます。2021年11月の2022年3月期第2四半期 決算説明会で、孫社長は、枯れた草木が点在する雪原に嵐が巻き起こっている映像を流しながら、2021年6月末までは約27兆円あったソフトバンクグループのNAV(時価純資産)が同年9月末時点では約20.9兆円に減ったことを「真冬の嵐」と表現しています。
真冬の嵐と表現した背景には中国のさまざまな規制強化もありますが、それに限らず、この世界では何が起こってもおかしくないのです。予想以上の規模で規制強化の波が突然来たことは、中国企業に投資していた多くの投資家に相当影響を及ぼしています。
たとえば、中国のエグジット市場が一夜にして突然ダメになる――世界中の投資家が有望な市場として多くの資金をつぎ込んだものの、それが一夜にして様変わりしたわけです。
そういうリスクはあり得ることを改めて認識しました。ただ、それを踏まえて今後どうアクションを起こすのかは、投資家によって対応は大きく異なってきます。
SVFとしては、孫社長が繰り返し発言しているように規制のあおりを受ける可能性が高いセクターへの投資については慎重にならざるを得ません。セクターやステージ、投資金額などにある程度配慮しながら選択的に投資先を見極めて継続的に投資しています。
日本投資第2案件のSODAに注目した理由
日本市場の展開としては、2021年12月にスニーカー/ストリートファッションのeコマース「スニーカーダンク(スニダン)」事業を運営するSODAに第三者割当増資(シリーズD)を実施しました。日本での第一号案件であるアキュリスファーマとはまったく色が違いますが、特にセクターを限定しているわけではないというSVFの特徴がよく出ていると思います。
このスニーカーなどのeコマース分野では、日本はむしろ後発です。米国ではStockXやGOAT、韓国ではKREAM、中国ではniceやプアゾンという企業がいるなど、実は世界中で注目されている分野なのです。それを面白いと思って日本で始めたのが、SODAの創業者の方々です。
すでに400万人以上が利用していて、市場のシェアが8割くらいと圧倒的な存在になっています。原宿にはリアル店舗もオープンしました。私も色々と勉強していくうちに、世界のムーブメントは日本にも多分に漏れず入ってくることを肌で感じています。
注目した理由は時代の流れやカルチャーという観点です。最先端のファッションカルチャーを先導している人たちがビジネスを創り上げていますね。
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