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- 2016/01/29 掲載
やっぱり東京ガスが「電力自由化」の勝者になる
東京ガスの発電能力は地域電力会社並みに
新電力のアピールポイントは、他の料金とセットで割引する「まとめればお得」。KDDI(au)、ソフトバンクの携帯キャリアは携帯電話料金とセットで、ENEOS(JXエネルギー)、昭和シェルなど石油会社はガソリン代とセットで「電気がお得になる」とPRしている。私鉄の東急は定期代とセットで割引する。受けて立つ地域電力会社も対抗して家庭向けの新料金体系を発表した。
都市ガスの東京ガスも参入し、ガスと電気のセット契約で基本料金を税込みで270円割り引き、1ヵ月の電力使用量が300KW時を上回る世帯では東京電力の現行料金より安くなるという。提携先の通信7社の光回線とのセット契約で月最大300円安くするサービスも行い、広瀬道明社長は1月18日、さらに安い料金プランへの改訂をほのめかした。
その東京ガスは自社グループに大型の火力発電所があり、新電力の中では電気の販売で最も実績がある。
電力小売の自由化は2000年の大型工場や百貨店から始まり、2004年に中型工場やスーパー、2005年に小型工場が対象に加わり、段階的に進んできた。東京ガスは2001年6月、千葉県の袖ヶ浦工場内に火力発電所「東京ガスベイパワー」(10万KW)を設けて電力事業に参入し、それ以来15年の実績がある。
現在は他社と共同の施設も含めて首都圏に4ヵ所の火力発電所を有し、2015年3月期は連結ベースで1年間に106.1億KWの電力を販売。2011年3月期の70.4億KWから4年で約5割の増加をみせた。
電力の小売は、かつては東京電力など全国に10社ある地域電力会社がほぼ独占してきたが、2014年度は新電力の比率が約1割に達している。4月の電力小売完全自由化でこのシェアがどこまで伸びるかは、経済ニュースで今年の大きなトピックになっている。
その新電力の最大勢力は2014年度の販売電力量で41.1%のシェアを有するENNET(エネット)で、東京ガス、大阪ガス、NTTファシリティーズが共同出資で設立した。2位のF-Power(ファーストエスコから分離した新電力)の9.3%に大差をつけている。
そのENNETに電気を供給する東京ガスの発電能力(グループ持分合計)は130万KWで、世界最大の原発、東京電力柏崎刈羽原発(停止中/7基・821万KW)のほぼ1基分にあたる。
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