経済ジャーナリスト 寺尾 淳
経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。
東京都が世界的な金融センターとなることを目指し、「『国際金融都市・東京』構想」を策定したのは2017年11月。それから4年が経過し、その間、世界的な脱炭素のうねり、デジタル化の潮流、コロナ禍の発生など、国際金融を取り巻く環境は激しく変動した。その結果、金融分野ではサステナブルファイナンスの市場拡大、フィンテックの重要性の増大といった動きが生じている。こうした変化に的確に対応するため、東京都は2021年11月、「国際金融都市・東京構想」の内容を刷新し、「構想2.0」にバージョンアップした。東京がライバル都市に打ち勝ち、ロンドンのシティ、ニューヨークのウォール街のような世界をリードする金融センターの地位を確立できるかどうかは、今後の数年間が勝負になる。「構想2.0」の狙いと実際にどのような政策を進めるのか、東京都政策企画局戦略事業部の担当者らに話を聞いた。
2021年4月、「電力需給調整市場」が誕生する。それに伴い、大きく拡大すると見込まれるのが「VPP(仮想発電所)」だ。VPPとは、さまざまな再生可能エネルギーや蓄電池、自家発電装置などの電源を束ね、その地域にまるで大きな1つの発電所があるかのように電力を安定的に供給できる仕組みである。電力供給を平準化・安定化する「調整」分野では、IoT、5G/6G、ブロックチェーン、AIなど最新のICTが威力を発揮する。この市場に今、電力企業だけでなく、異業種からの参入も相次いでいる。電力リバースオークション「エネオク」を運営するエナーバンクの代表取締役社長、村中 健一氏の解説を交え、目が離せない成長市場の今を解説しよう。