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- 2020/09/02 掲載
宅配ピザのアツイ戦い、ドミノ・ピザーラ・ピザハットの“御三家”にダスキンが挑む
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イタリア料理のピザ、その宅配ビジネスは米国生まれ
いま「Uber Eats(ウーバー・イーツ)」や「出前館」による外食デリバリーが脚光を浴び業績を伸ばしている。外食デリバリーのいわば元祖のような業態が「宅配ピザ」だろう。ピザはスパゲティ(パスタ)と並び、日本人には最もなじみの深いイタリア料理。発祥の地は南イタリアのナポリで、安くてボリュームがある庶民の食べ物だった。南イタリアは米国への移民が多かったので、20世紀初頭からニューヨークのリトル・イタリーやシカゴには多くのピザの店(ピッツェリア)ができ、独自の発達を遂げた。第二次世界大戦中、イタリア進攻作戦に従軍した兵士が現地でその味を知って帰国すると、ピザはイタリア移民の食べ物から米国の国民食になる。
その後、ホームパーティーなどで「ピッツェリアのピザの味を自宅でも味わいたい」という要望に応える形で誕生したのが宅配ピザの業態だ。1958年に「ピザハット」がカンザス州に、1960年に「ドミノ・ピザ」がミシガン州にそれぞれ第1号店を開いた。60年代から70年代にかけて、全米のほとんどの町にピザを宅配する店ができたという。
宅配ピザの日本上陸は1985年9月で、ドミノ・ピザが東京・恵比寿に国内初出店した。当時すでにファミリーレストランの人気メニューでピッツェリアも存在していたが、ピザのデリバリー専門チェーンは斬新だった。段ボール箱で届くので後で食器を回収する必要はなく、「30分以内に配達できなければ代金をお返しします」というサービスも話題を呼んだ。
さらにピザーラが1987年、ピザハットが1991年に国内初出店。80年代後半から90年代にかけての平成バブルの時代、若い世代に支持されオフィス街でも住宅街でも雨後のタケノコのようにできた宅配ピザだったが、その後は淘汰(とうた)が進み大手チェーンに集約されていった。
現在の国内市場は「ドミノ・ピザ」「ピザーラ」「ピザハット」のシェア上位3社が「御三家」と呼ばれ、3社の店舗数を合わせると1300店舗を超え、人口約10万人につき1店舗がある計算になる。
【ランキング】国内の「宅配ピザ」現勢力
現在の国内における宅配ピザ業者の状況を以下の表にまとめてみた。店舗数は各社のホームページ、ニュースリリースなどを参考にした。店舗数 ランキング |
サービス名 (経営母体) |
店舗数 | 特徴 |
1 | ドミノ・ピザ (ドミノ・ピザ ジャパン) |
669店舗 (2020年6月現在) |
米国のドミノ・ピザ(世界約1万6000店舗)の傘下で、日本の市場を重視している。 |
2 | ピザーラ (フォーシーズ) |
529店舗 (2020年1月現在) |
純粋な日系資本。創業者はドミノ・ピザにFC契約を断られたので、自前で起業した。 |
3 | ピザハット (日本ピザハット) |
415店舗 (2020年1月現在) |
KFCのヤム・ブランズ傘下の「ピザハット」は世界約1万6000店舗。 |
4 | ナポリの窯+ ストロベリーコーンズ (ダスキン) |
計129店舗 (2020年6月現在) |
純粋な日系資本。2020年6月にダスキンが「ナポリの窯」と「ストロベリーコーンズ」の合計129店舗を事業買収し、経営母体が「いちごHD」からダスキンに交代した。「ナポリの窯」は「本格イタリアン」にこだわったレシピが特徴。 |
5 | 宅配ビザ テン・フォー (テンフォー) |
86店舗 (2020年1月現在) |
純粋な日系資本。店舗数は縮小傾向にある。 |
宅配ピザは消費税増税でも、コロナでも伸びた
業界団体の「ピザ協議会」は毎年、日本国内のピザ宅配店・ピザ専門店のピザ売上高を発表している。2020年8月4日に発表された最新の2019年度(2020年3月までの1年間)の数値は1,750.4億円で、前年度比で6.6%増加した。売上高は2015年度の1,716.9億円をピークに3年間減少が続いていたが、4年ぶりに1,700億円台に乗せ過去最高を記録した。2019年度は10月の消費増税で外食産業の店内飲食(イートイン)の消費税率が10%に上がった際、宅配ピザの宅配(デリバリー)や持ち帰り(テイクアウト)はサイドメニューの酒類を除いて消費税率が8%に据え置かれた。そのため「軽減税率効果」が出ている。さらに年度末の3月頃からは新型コロナウイルス感染症の流行に伴う「巣ごもり」による「デリバリー特需」も生じている。
国内最大手のドミノ・ピザ ジャパンは6月、新型コロナウイルスによる自粛期間(4~5月)中の宅配ビザの利用状況に関する自主調査の結果を発表した。それによると自粛期間中に宅配ピザ(デリバリー/テイクアウト)を初めて利用した人は全体の2.5%で、全体の46.5%は「利用が増えた」と回答している。一方、「減った」は2.8%にとどまった。
コロナ禍で子どもは学校、大人は職場に行けず巣ごもりしている家庭では「ピザでもとろうか?」という会話が交わされたことが想像できる。宅配ピザは店舗数も多く、デリバリーといえば、まずピザが思い浮かぶほど日本人の生活の中で身近な存在として定着しているので、他の外食デリバリーに対し「先行者利益」を享受していたことがうかがえる。
外食サービス業などの調査を手掛けているエヌピーディー・ジャパンのフードサービス・シニアアナリスト、東さやか氏も、宅配ピザはデリバリーの中で最も想起されやすい業態だと指摘する。
「どこの地域でも、どのアプリでも、ウェブでも電話でも注文できることが大きいと思います。なじみがある上に配達の速さやクオリティーの高さでも安心して利用できるデリバリーです。家族でシェアして食べやすく、ちょっとしたパーティー気分も味わえます」(東氏)
【次ページ】2020年度はさらに成長。その後の明暗を分けるのは何か?
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