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- 2023/08/25 掲載
TEIAとは? 日本も取り組む「エネルギー業界のデータ管理標準」の狙い
エネルギー業界のオープンスタンダードの重要性
──なぜ今、エネルギー業界にデータ管理のオープンスタンダードの構築が必要だと考えられたのでしょうか。タラル・シャムーン氏(以下、シャムーン氏):エコシステム主導の産業であるエネルギー業界においてオープンスタンダードの利点は、エネルギー事業者が安全かつ一貫して動作するデバイスを従来より低い価格帯で調達する選択の自由を与え、調達の自由を広げられる点です。
費やされている金額を考慮すると、エネルギー事業者は自分たちが求めるベンダーを柔軟に選択し、マルチベンダーのプラントをよりスムーズに稼働させられるほうがより効率的であることは明らかです。
一方で、デバイスメーカー側にもメリットがあります。デバイスとソフトウェアは個別に開発される場合が多く、意図に関係なく、独自のフォーマットを中心に調整されているため、顧客となるエネルギー事業者が自社技術の使用を制限される可能性があります。
オープンスタンダードにより、メーカーはソフトウェアを単一の技術レシピに基づいて構築することができ、セキュリティと相互運用性が得られます。スタンダードが確立されると、デバイスメーカーの部品サプライヤーはオープンスタンダード技術を満たす部品を低コストで大量生産できるようになります。
これは、風力タービンやヒートポンプなどの部品代が大幅に安くなることにつながり、利益に貢献することを意味します。
サミ・ベンジャマ氏(以下、ベンジャマ氏):発電設備およびエネルギー機器は、パフォーマンス、安全性、信頼性を重視して構築されています。IoTの出現により、機器メーカーは運用を改善するためにデータの利活用を進めてきました。
しかし、これまでデータ分析から得られた洞察は顧客や他のメーカーと共有されてきませんでした。現在、従来の設備に加えて風力、太陽光、バッテリーなど電源が多様化しているため、より多くのベンダーが参入しており、顧客はIoTデータの利活用を確立するためにより多くのメーカーと連携しています。
クラウドおよびデータ処理に必要なコンピューティング能力のコモディティ化は、ベンダー独自のソースからデータをタイムリーかつ安全に取得するという課題に直面しています。
しかしメーカーは、他のメーカーと標準化するインセンティブがないため、相互運用性に対するソリューションを提示してきませんでした。こうした問題への解決策として、エコシステムを形成するすべてのプレーヤーの利益にもつながる、TEIAイニシアチブを開始することになりました。 【次ページ】データセキュリティはどう担保? 電力会社のサービスはどう変わる?
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