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  • 2025/01/24 掲載

目を背けるのは「そろそろ限界」の原発問題、国際競争力を保つ「たった1つ」の方法

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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2024年12月、経済産業省が「第7次エネルギー基本計画」の素案を発表した。素案では、これまで「可能な限り低減する」とされてきた原子力発電の活用について、「再エネや原子力を最大限活用する」と、従来と異なる表現に変更され話題を呼んだ。脱炭素化が世界的に喫緊の課題となっている現在、再生可能エネルギーとともに注目を集めている原子力発電だが、アメリカでは、膨大な電力を消費するAIの進化・普及に伴ってGAFAMが原子力関連の投資を活発化させている動きもある。こうした時流の中で、日本は原子力発電といかに向き合っていくべきなのか。第7次エネルギー基本計画を紐解きながら解説する。
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これからの時代における原子力発電の在り方とは
(Photo/Shutterstock.com)

ここにきて「原子力」が再注目のワケ

 今、世界で原子力発電への注目が高まっている。

 2024年11月、中東アゼルバイジャンのバクーでCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)29という大きな国際会議が24日間にわたり開かれた。

 COPは、気候変動をどう防ぐかを話し合う国連の中で最大級の会議だ。コロナの影響で延期されたCOP26を除き、毎年開催されている。

 このCOPでは最近、これまであまり注目されていなかった「原子力」が多くの国で再評価されるようになっている。

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COP29は、2024年11月にアゼルバイジャンで開催された
(写真:ロイター/アフロ)

 その背景には、ウクライナ戦争で燃料の価格が大きく上がり、エネルギー不足への不安が広がったことがあると考えられる。また、原子力が「ネット・ゼロ」(温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること)を達成するための重要な電源として期待されていることも関係している。

 2023年に開催されたCOP28では、「2050年までに原子力発電の規模を3倍にする」という宣言が出され、新たに6カ国が参加し、賛同国は31カ国に増えた。また、国際原子力機関(IAEA)と欧州開発銀行(EBRD)は、原子力分野で協力を広げるための約束を交わした。

 この取り組みで、東ヨーロッパや中央アジアの国々でも原子力を活用する可能性が広がり、ネット・ゼロ達成に向けた資金の確保やエネルギー政策の推進が進むと期待されている。これまで原子力に関わりが薄かった国々も、原子力への興味を高めているのだ。

グーグルも「熱視線」の「新型原子炉」とは

 アメリカでも原子力を巡る大きな動きがある。グーグルやアップル、メタ、アマゾン、マイクロソフトなどの大手テクノロジー企業(GAFAM)が、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの積極的な活用を進めているのだ。

 再生可能エネルギーは環境に優しいが、天候などに左右されて電力供給が不安定になり得るため、24時間365日膨大な電力を使うデータセンターを支えるには十分ではない。そのため、これらテック企業は安定して使える次世代の原子力発電に投資を始めている。

 この動きの中で特に注目されているのが、小型モジュール炉(SMR)と呼ばれる新しいタイプの原子炉だ。以前の連載でも紹介したが、グーグルは、アメリカのカイロス・パワーという企業が開発するSMRから電力を買う計画を発表している。

 このSMRは2030年までに稼働を目指し、最終的には7基(発電容量約50万kW)を動かす予定だ。SMRは、工場で部品を組み立ててから建設地に運ぶことができ、建設にかかる時間や費用を大幅に減らせる。また、小型なので設置場所の選択肢が広がり、冷却システムもシンプルで、安全性が高いとされている。福島第一原子力発電所のような事故が起こりにくい点も大きな特徴だ。 【次ページ】実現すれば「歴史的」な核融合発電とは
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