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- 2024/07/26 掲載
リチウムイオン電池とはどんな電池? EV普及で需要急増、発火が多発する原因も解説
リチウムイオン電池とは何か
以前までは、二次電池と言えば鉛蓄電池が主流でしたが、時代のニーズや技術の進歩によって、リチウムイオン電池が二次電池の主流となってきました。1990年代初めに登場して以来、目覚ましい発展をし続け、今日の電池市場を席巻しています。
経済産業省の機械統計によると、2023年のリチウムイオン電池の国内販売金額は8,997億円でした。このうち車載用途は7,795億円であり、年々増加傾向にあります(冒頭の図1)。
今後もEVや再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、蓄電池への需要が高まり、ひいてはリチウムイオン電池の需要が今後さらに増加していくものと予想されます。
リチウムイオン電池の特徴
リチウムイオン電池が普及してきたのは、他の二次電池にはない優れた電池性能を持つためです。一方、安全性や価格面などの観点からまだ課題は残されています。主なメリット・デメリットとしては以下の3つが挙げられます。- 小型化しやすい
- 軽量化しやすい
- 大容量の電力
■デメリット
- 安全性の問題
- 資源の問題
- 価格の問題
詳しく解説します。まず下の図2を見てみると、リチウムイオン電池の重量または体積当たりのエネルギー密度が、いずれも他の電池よりも大きいことがわかります。
一方、リチウムイオン電池は、安全面で問題を抱えていることが大きなデメリットに挙げられます。リチウムは、水と激しく反応するなど、発熱や発火しやすい特性があります。充放電を繰り返すリチウムイオン電池に、金属のリチウムではなく化合物のリチウムが使用される理由は、安全性を高めるためです。
また、資源の問題もあります。リチウムは南北アメリカ大陸やオーストラリア、中国などの一部の地域に偏在し、埋蔵量も限られています。さらに、需要が急増することで価格が高騰しやすくなるリスクがあります。
リチウムイオン電池の用途
リチウムイオン電池は、スマホやノートパソコン、タブレット、EV、産業用機器、ゲーム、モバイルバッテリーなど、幅広く利用されています(図4)。リチウムイオン電池の小型化・軽量化・大容量のメリットを生かし、今後も、モバイル機器をはじめ、さまざまな製品に用いられていくでしょう。
リチウムイオン電池の発火が多発する原因
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いほど安全性へのリスクが高まる傾向にあります。安全対策の施された製品を適切に使用していれば、問題が発生することは多くありません。一方、強い衝撃を与えた場合などは、発火の原因となってしまいます。
リチウムイオン電池に使われる電解液は、引火性のある有機溶媒です。そのため、衝撃や損傷によって、電極物質同士が触れ合うと化学反応が起きて熱が発生し、電解液に引火することで発火する危険があります。
特に廃棄時は、発火の危険が多く潜んでおり、近年で見ても廃棄の時に往々にして発火が発生しています。ゴミの分別ルールを守らず、リチウムイオン電池を含む製品を誤って廃棄した場合など、ゴミ収集車やゴミ処理施設で発火や爆発が起こる事故が多発しているのです。
環境省の調査によると、リチウムイオン電池を含むリチウム蓄電池起因の火災事故件数は、年間1万件以上も発生しています(図5)。
事故原因の多くが、「不燃ごみ」として混入していたことによるものです。不燃ごみは処分場のスペース確保のため、細かく砕いてから処理することがあります。その時にリチウムイオン電池が混ざっていると、発火などにつながる危険があると容易に想像できるかと思います。
その1つの対策として、担当者が不燃ごみなどから手作業で選別、抜き取りしていることもあるようです。
ではどのような製品が発火の原因として多いのでしょうか。具体的な製品としては「モバイルバッテリー」が最も多く、次いで「加熱式たばこ」「コードレス掃除機」が多くなっています(図6)。
火災事故は、処理施設等の従業員に危険を及ぼすことはもちろん、施設の損傷により膨大な修復費用がかかったり、清掃工場の稼働停止によって日常生活に大きな支障を与えます。火災事故による損害は甚大で、損害額は数億円にも及ぶと言われます。
リチウムイオン電池は、使用時だけでなく、廃棄時も発火の危険性が潜んでいること、そして事故による被害が甚大になりやすいことを常に認識しておくことが重要です。
では、使い終わったリチウムイオン電池やその製品を廃棄する場合は、どうすればいいのでしょうか。
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