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- 2015/12/21 掲載
三菱UFJフィナンシャル・グループ 平野社長「Fintechは金融業界を大きく塗り替える」
環太平洋の貿易量は世界の3分の2、TPPが「力強い触媒」となる
「新興国経済がどれだけ大きく、どれだけ早く成長しても、米国のプレゼンスは疑いもなく、世界に影響力を持つ経済力であり続けるでしょう」
米国の強さの理由は、シェール・オイルやシェール・ガスといった豊富なエネルギーを持ち、しかも人口動態的にも有利の状況が続くことにある。
「しかし、基本的な強み、そして米国経済の主要な原動力となっているのは疑いもなくイノベーションです。これはアメリカ人の特性の核心にあるものであり、アメリカという国家を決定的に決める要因でもあるでしょう。アメリカという社会では、ダイバーシティそして開放性、起業家精神を尊ぶ社会であります」
元米国財務省長官をつとめたラリー・サマーズ教授は、長期スタグネーション理論というのを提唱し、イノベーションが欠如すれば世界経済は低迷すると指摘していた。
「私もある程度は同感です。最近のICT、ビッグデータ、AI、クラウド・コンピューティング、ロボット、IoTというのが、さらに21世紀世界経済を大きく押し上げていく要因となっていくでしょう。こういった新しい技術は、アメリカを起源とする、そしてアメリカで盛んになっているイノベーションと同じ精神の結果であると考えます」
米国が経済的にますます強さを増す中、日本も景気がようやく回復期に入った。
「広く持たれている見解としては、アベノミクスによって回復が導かれています。ただ、アベノミクスのイニシアチブはまだまだ進行中です。アベノミクスが長期的にどのような効果を与えるにせよ、経済界のリーダーの間には、守りの姿勢からより建設的な姿勢に転ずるというような明確な変化が、姿勢・態度に見られるのではないでしょうか。私は日本も自律的な成長に戻ることができると感じています」
その一方で、中国の景気は鈍化してきている。世界経済の中心にあった中国が失速してきているということで、中心はアジアからアメリカに移るのではないかと言われているが、平野社長は「アジア経済は短期的に後退を余儀なくされたとしても、まだまだ高成長のポテンシャルが高い」と指摘する。
さらに、アメリカ、日本、そして多くのアジアの国々はお互いに相互関連性が高まってるともいう。たとえば環太平洋地域への貿易の量は、世界貿易の3分の2に上ると言われており、その比率はさらに増大していくという。
「そのことに向けて、12カ国によって構成されたTPPがようやく大筋合意に達し、力強い触媒役となってメガ経済圏の創設を加速させるでしょう。我々にとっては、環太平洋経済が繁栄する中で、アメリカと我々がリーダーシップを分かち合っていくということが重要です」
【次ページ】アメリカでのトップバンクを目指す
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