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- 2014/08/12 掲載
ヤフー 宮坂学 社長が目指す「広告の民主化」とは? 広告はいずれ「会話」に行き着く
ネット広告は、最高の表現を、最高のタイミングで届けることが重要
「どうやって自社の製品やサービスを知ってもらうかの方向性は、大きく2つある。1つがアート、そしてもう1つがテクノロジだ」
アートとは、自社のメッセージやブランドを少しでも記憶に残してもらうためにどんな表現をするのかということ。またどんな素晴らしい表現も、消費者に届けるタイミングを間違ってしまえばノイズになってしまう。そこで求められるのがテクノロジだ。
「最高の表現を、最高のタイミングで届けることが、これからますます重要になる」
まず1つめのインターネットのアートの世界は、テキストから写真、そして映像へと変化してきた。インターネット広告においても映像化が加速しており、ユーザーがテキストのニュース記事を読んでいる傍らで、企業が自社ブランドを動画で伝えるということが行われている。さらに今では5人に1人が、毎日インターネットで映像を視聴しているという。
「これは企業にとって大きなチャンス。テレビCMを中心とした従来の映像表現では約15秒が1つのフォーマットだったが、インターネットではそれが58秒。つまり約4倍もの時間、ユーザーは映像を見ていることになる。今後インターネットの映像は、製品やサービス、ブランドを届ける際の非常に大きな武器になる」
ただしテキストや写真、映像も結局はディスプレイの中、即ち2Dの世界で見せる表現だ。これを3Dプリンターの普及などテクノロジの進化によって、3Dの世界で表現できる可能性があると宮坂氏は指摘する。
「2Dで行われている従来の広告表現が、3D、つまりユーザーが手に取ることのできる表現に変わる可能性がある。たとえば広告の商品が実際の形として、自宅に居ながら手に取って見ることができるという世界だ。今すぐは難しいかもしれないが、10年、20年経てば、一般的になるのではないか。テクノロジの進化によってまず1つ、広告表現が大きく変わる可能性がある」
最適な広告を最適なタイミングで届ければ、それは「会話」
しかしどんなに優れた広告表現をしたとしても、ユーザーが知りたいタイミングで、あるいは興味のあるユーザーだけに届けなければ、相手にとってはノイズになってしまう。だが、この課題もテクノロジが解決してくれる。「新なたテクノロジによって、ユーザーに最適な広告を届けることができるようになった。いわゆるビッグデータの活用だ。インターネット上でユーザーの行動履歴を取得し、車に関心のある人には車の広告を、旅行が好きな人には旅行の広告を出していく。従来のような“コンテンツの枠”によるターゲティングではなく、“人の興味や関心”によるターゲティングが始まっている」
ビッグデータの特徴は、VOLUME(=量)、VELOCITY(=生成される速度)、VARIETY(=多様性)の3つのVで表わされることが多い。この3つの要素を持つビッグデータを活用することで、より精度の高いターゲティングが可能となる。
まずボリュームについては、現在Yahoo!JAPANには1日に約6700万ユニークブラウザアクセスがある。つまり国民の2人に1人が毎日訪問している研鑽となる。また速度についても、毎秒5万アクセスがある。この速度について宮内氏は「1か月前のデータを使ってターゲティングするよりも、1秒前のデータを使うほうが圧倒的に精度が高い」とし、「データが更新される速度も実は非常に重要だ」と強調した。
【次ページ】ヤフーは“課題解決エンジン”、今後“広告の民主化”を推し進めていく
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