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前代未聞の10連休”ゴールデンウィーク”もはるか昔。夢の時間は終わり、5月がもうすぐ終わるにもかかわらず、5月病を引きずっている人も多い。ではどう治すのか。5月病とは何か、どうやって引き起こされ、具体的にどうやって治すのか。無理なく脱・5月病を達成するコツをお教えする。
5月病とは?
春先は、学校や職場の環境が変化し、新しい人間関係を形成しなければならず、心身にさまざまなストレスがかかる。この際の変化についていけない焦りやストレスが、体の症状となって出てくることを「5月病」と通称する。最近では5月に限らず6月で発症することも多く、5月・6月病ともいわれる。
5月病にかかると下記のような症状が出ることがある。
・やる気が減退して、イライラ、不安や焦りがつきまとう
・睡眠が浅く、疲れがとれない
・食欲がわかず、おいしさを感じられない
・動悸、息切れ、めまいの症状がでる
実は、医学的にはこうした症状を発する場合に「適応障害」という診断名が付与される。言い換えれば、「5月病」といわれるものの中には、適応障害が含まれているのだ。
「自分よ、動け」が症状を悪化させる
多くの場合、一時的にこのような状態になっても、いつのまにか自然解消するものなので、大袈裟に考える必要はない。だが重症化すると、なかなかやっかいな話になる。特に、結婚、出産、昇格など、大きなライフイベントが重なるときは注意したほうが良い。
何を隠そう、筆者も過去に適応障害の診断を受けて、そこから回復をしてきた経験をもつ一人だ。
私の場合は、著書の出版、第二子の誕生、仕事と部下の激増、趣味でやっている音楽活動の成功などが重なったのだった。一見、おめでたい話でだが、不安と焦燥にかられるばかりで、いくらあがいても前に進めない感じに悩まされた。夜は寝つきが悪くなり、悪夢もたびたび見るようになった。
成果が出ているので、よもや自分が不調になるなんてことが受け入れがたい気持ちになる。そこで、無意識のうちに「自分よ、動け」と心の中で自分に鞭打ってしまう。
しかし実は、その「自分よ、動け」こそが、無駄に症状を重くしてしまう入り口だったと、いまとなっては思うのだ。
好調は、緊張と弛緩が繰り返すリズムで作るもの
5月病の防止・解消を考えるうえで参考になる本がある。解剖学者の三木成夫氏の名著『内臓とこころ』という本だ。
本書によると、人間の身体は、外部環境を知覚し、移動し、働きかけるための脳神経や筋肉、骨格という「体壁系」の身体と、消化吸収、循環、排せつのための「内臓系」のふたつのシステムから成り立っている。内臓系システムは、地球が1日24時間で自転したり、1年365日で公転するという、身体の外部にある宇宙のリズムを内蔵していて、環境と共振している。
ここで大切なのは、自分の外部環境にあるリズムと、自分の内なるリズムが調和してはじめて良い結果が出るということだ。外側の体壁系と内側の内臓系がケンカしてしまうと、どうも調子が出ない、ということになる。
【次ページ】「調子がいいとき」とは、どんなとき?
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