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- 2019/01/10 掲載
ストレスため込む「HSP」は“ものすごくよく分かる”から苦労する
HSPとは何か? HSPが持つ4つの特性
筆者自身、そうした傾向があると自認する1人だが、本書を手に取り、深く納得した。以降では、本書の内容をもとに、筆者なりの見解としてHSPについて紹介させていただきたい。
不安や恐怖心が強くて悲観的になりやすく、とても疲れやすい。他人の気持ちに敏感で、強く同調したり、共感したりする。そうした特質は一般的には、内向的だとかシャイだとかいわれてプラスには評価されづらい。
とかく人はポジティブなもの、元気なもの、外向的であることを好むので、そうした傾向は、つい固定観念的にネガティブな特質だと思われがちだが、実はこの社会を生きていくうえで、不利にはならないものである。
それを教えてくれるのが、米国の心理学者、エレイン・N・アーロン博士である。同氏が提唱するHSPの理論では、HSPには4つの属性があるとされる。これらは、頭文字をとって「DOES」と呼ばれる。
HSPの4つの特性
(1)丁寧で、深い情報処理を行う(Depth of processing)
(2)過剰に刺激を受けやすい(Over aroused)
(3)感情の反応が強く、共感力が高い(Emotional reactivity and high empathy)
(4)些細な刺激にも反応する(Sensitivity to subtle stimuli)
これらの特徴は遺伝的なものであり、器質的なものであるため、表面的な意識だけでは、なかなかコントロールすることは難しい。
いろいろ気づき過ぎて「コミュ障」認定が下る
同じ情報を受け取っても、非HSPとHSPでは受け取る情報の量がそもそも違っている。また、その情報処理プロセスもHSPのほうが多く、複雑である。結果、外面に現れる反応としては、積極性や外向性の低さのように見えてしまう。実はそうではないのに、である。一方で、考えてみれば、これらは生き物が生きていくうえで、とても大切な機能だ。危険を察知し、慎重かつ正確に考え、周囲との調和を重んじる。群れで生きていく人間という種族ならではの能力ともいえるだろう。
HSPの繊細さには、遺伝的、脳神経的な裏付けがある。にもかかわらず「自分は努力が足りない」とか「根性がない」と考えてしまうと、ネガティブな結果をもたらしてしまう。
しかし、本質を見抜く力に優れているのだと自己認識を持ち、その力を正しく周囲にフィードバックすれば、チームへの貢献度が高いビジネスパーソンとして活躍できるのだ。
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