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  • 2017/02/22 掲載

電子チケットサービスビジネスの基本 転売防止からインバウンドまでLive Stylesが解説

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年々、成長を続けているライブ・エンタメ市場。2015年の市場規模は、前年比20.2%増の5,119億円だった(『2016ライブ・エンタテインメント白書』による)。その活況に伴い、チケット転売ビジネスも拡大している。この問題の解決手段として注目を集めているのが「電子チケットサービス」だ。電子チケットにはどんな種類があり、どういった企業・サービスがしのぎを削っているのか。また、インバウンド需要に関わる電子チケットサービスビジネスの可能性について、電子チケット発券サービス「tixeebox」を展開しているLive Styles 取締役 営業統括 部長の飯塚優希氏に話を聞いた。
(聞き手/構成:編集部 佐藤友理、執筆:中村仁美)

photo
Live Styles
取締役 営業統括 部長
飯塚優希氏


「電子チケット」は大きく3種類に分かれる

──まず、御社のことを簡単にご紹介いただけますでしょうか。

飯塚氏:元々、Live Stylesではイベントを探すところから、チケットの購入、入場までをスマホで完結する電子チケットサービス「tixee」を展開していました。

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 2015年5月にDMM.comがイベント産業に参入することとなり、DMM.comとLive Stylesが電子チケット事業で協業することとなりました。

 現在、DMM.comでは「DMM.E」という各種イベントのチケット情報・購入アプリを展開しています。一方、当社は、「tixee」からイベント検索とチケット購入を省いた、発券と入場に特化したサービス「tixeebox」を提供しています。「tixeebox」では、「tixee」で採用していた「電子もぎり」という特許技術を引き継ぎ、入着券管理を行っています。なので、DMM.Eは「イベント探し」と「チケット購入」「発券」「入場」までカバーしており、「発券」と「入場」に特化しているのが「tixeebox」という分担ですね。

──「電子チケット」とはそもそも、どういうものを指しているのでしょうか。

飯塚氏:私たちの言う「電子チケット」とは、今まで紙で発券されていたものを電子的に置き換えたチケットを指します。たとえば、私たちのtixeeboxであれば、スマホのアプリでチケットを受け取り、入場までがスマホ1台あればできます。

画像
tixeebox利用の流れ
(画像:Live Styles提供)


──電子チケットサービスの種類について教えてください。

飯塚氏:大きく3タイプに分かれます。第1はtixeeboxのような読み込み端末不要、お客さまのスマホ1台で完結するサービスです。tixeeboxは電話番号で端末認証を行い、制限をかけることで、不正転売を防いでいます。

 第2にスマホと他のツールを使って入場管理をするシステムです。たとえば専用スタンプをスマホの画面に押して入場を管理したり、QRコードを表示させ、現場でそれを読み込ませて管理するというようなシステムです。

 第3は顔認証システムです。お客さまが事前に顔を登録して、現場には顔認証システム端末を設置し、登録画像と比較し、同一人物か認証を行い、入場管理をします。

──イベント主催者はどういう基準でこれらのサービスを選ぶのでしょうか。

飯塚氏:主催者が電子チケットを導入するきっかけはさまざまですが、多いのは「インバウンド対応」「電子チケットならではの付加価値」「転売防止」です。中でも「転売防止」ですが、転売発生のポイントは、「受け取る前」「受け取る際」「受け取った後」の3つあります。

 「受け取る前」であれば、チケットの当選番号などを自分以外の人に教えて対価を得る、という形の「転売」になります。「受け取る際」では、受け取ったチケットが紐づくアカウントなどを売買する「転売」が行われます。「受け取った後」では、受け取ったチケットをオークションなどにかけ、最高額を出す人に売る「転売」が行われます。

 これらの3つのポイントで、どのタイプのサービスならどこまで防げるのか、それを費用対効果で選択することになります。

 また、設備投資とイベントのオペレーションの問題もあります。ライブや舞台などのイベントは常設ではないことが多いです。そういった環境でその都度、入場に関わる端末・機材を準備するのでは手間も費用もかかります。さらに、イベントごとに端末・機材が変われば、入場に関わるイベントのオペレーションもその都度変わってきます。したがって、設備の使用頻度、イベントのオペレーションノウハウの蓄積も加味して、導入する電子チケットのタイプを選択する必要があります。

電子チケットサービスの差別化ポイント

──電子チケットサービスを展開している企業は、どうやって差別化を図っているのでしょうか。

飯塚氏:たとえばtixeeboxの差別化のポイントは、特許を活用した電子チケット発券に特化しており、ユーザーのスマホさえあれば、専用端末なしで導入できることです。主催者は、販売ルートや現場でのオペレーションなど、今まで通りのやり方を変えないですみます。

 先ほど紹介した、ツールを使った第2の方法を採用している代表的な企業がEMTGさんです。同社は電子チケットに専用スタンプを押して管理するという方法を採用しています。同社の差別化のポイントは、ファンサイトやファンクラブの企画・開発・運営を行っているところです。つまり自社が運営しているファンサイトやファンクラブが使いやすいソリューションが提供できるのです。



 第3の顔認証を展開している代表的な企業では、テイパーズさんが挙げられます。同社ソリューションの差別化ポイントは、やはり転売防止に対しての精度の高さです。ただ、顔認証の場合、イベント規模が課題になります。一流のアーティストでもライブハウスのような小規模の会場でイベントを開催することがあります。ではライブハウスの前に顔認証システムを設置できるか、というと難しい。

 もう1つ顔認証導入のハードルを上げているのが、ユーザーの顔の事前登録です。ユーザーから「面倒だ」という声をよく聞きます。そして、入場スピードも課題です。認証自体では、紙チケットでの入場より時間がかかりやすいのが現状です。紙と同等かそれ以上の入場スピードでないと、やはり一般には受け入れられないと思います。いかに入場スピードを落とさないで認証するかが、これからの課題でしょうね。

【次ページ】インバウンド需要対策としての電子チケットサービス
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