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- 2024/06/05 掲載
それでも日本はシリコンバレーを目指すべき理由。数字で歴然、日本で起業しない納得背景
若い世代の「起業」をどう支援するか
シリコンバレーにJABI(Japan America Business Initiatives Silicon Vally)というNPOがある。2009年に、シリコンバレーに永住する日本人ビジネスコンサルタントら数名が、産業用ロボットなどを販売するイノベーションマトリックス社の大永英明氏を中心に立ち上げ、主にシリコンバレーに進出しようとする日本企業のサポートなどを行っている。現在会長を務めるのは、米MIT(マサチューセッツ工科大学)発のスタートアップでEV用のワイヤレス充電普及を目指すワイトリシティ(WiTricity)社の岡田朋之(トム岡田)氏だ。
ボランティアメンバーを中心に現在は月に一度程度のセッションを開催している。トピックは非常に幅広く、宇宙工学からフィンテック、フードテック、生物学、先端医療など関心を持つ分野での専門家の話を聞くことができるため、オンラインやイベント会場で毎回多くの出席者が意見を交わす場となっている。
JABIのもう1つの目的は、特に日本の学生など若い起業を目指す人々への「社会のニーズをいかにビジネスへと発展させるのか」というアイデアの提供、手助けを行うことだ。2024年3月には学生を対象としたビジネスアイデアのコンテストを開催。また、「JABI 5UPプログラム」という日本の学生や、若手社会人教育、起業家育成プログラムを持つ。
「5UP」の5つの要素とは、講義、メンタリング、企業訪問、ネットワーキング、ビジネスプラン発表だ。
国際社会における価値観の違い、日本の立場、特に海外に住む日本人から見た日本の現状を理解したうえで、国際社会で活躍できるプロフェッショナルとしての、スキル、人格像を再認識させることが目的となる。
そして、シリコンバレー現地のエキスパート、JABI会員によるビジネスプラン・ワークショップや外部講師による講義によって多様化社会対応ニーズ、スキルを学ぶ、海外で活躍するさまざまな職業のプロフェッショナルによる講演会やディスカッションを通して、参加者の問題提議し解決策を考える習慣や海外進出もしくは旧態依然の自社の文化・体質の改善目標を定めるマインドセットを持つことを目標としている。
岡田氏によると、JABIの今後の目標は、JABIを日本の若い起業を目指す人々がプラットフォームとして利用し、米国での起業や就職を支援していくことだという。シリコンバレーの発展の礎は学生らによる起業とも言えるが、日本でも徐々に学生起業が増えつつある。
しかし、起業を取り巻く環境は日米で大きな差がある。
数字で見ると愕然…米・欧・中・日のVC実態
つまり、米国で行われるVC全体のほぼ34%がシリコンバレーとサンフランシスコ一帯に集中している。
ドットコムビジネスの最盛期だった2021年には、シリコンバレーだけで920億ドルのVC投資が行われたため減少傾向ではあるが、それでも日本全体のVC総額が2022年で3,403億円だったことを考えると、巨額であることに変わりはない。
さらに米国のVCの魅力は、ユニコーン企業を生み出す巨額投資が実現している点だ。 【次ページ】巨額…2023年のVC投資の内訳、なぜシリコンバレーは誕生したのか
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