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ソフトウェア開発の分野に生成AIが導入されるにつれて、「生成AIはソフトウェア開発の生産性を本当に向上させるのか?」という問いが生まれています。では、その生産性はどうやって測定するべきでしょうか。それがわからなければ向上しているのかどうかもわかりません。一方、従来型の測定方法には課題も残っています。この記事ではソフトウェア開発者などを対象に調査した『グローバルDevSecOps調査レポート』をもとに、ソフトウェア開発の生産性と生成AIによる変化について考えていきます。
生成AIがソフトウェア開発に与える影響
筆者が所属するGitLabが2024年に発表した『グローバルDevSecOps調査レポート』とは、日本を含む世界中の企業の5300人を超えるCxO、ITリーダー、ソフトウェア開発者、セキュリティ担当者および運用担当者を対象に、DevSecOpsの導入における成功や課題などについて調査を実施し、その結果をまとめたものです。
本調査から、企業は生成AIにまつわる抵抗感の大部分をすでに乗り越えており、現在は生成AIをスケーラブルで持続可能なものにすることを目指していることが明らかになりました。
一方、多くの経営陣には生成AIが生産性に与える影響を定量化するのに苦労しているという実態も示されています。
たとえば、世界中の回答者の58%、日本では67%の回答者が、ソフトウェア開発者の生産性を測定することがビジネス成長の鍵であると回答しています。その一方で、世界中の回答者の51%がソフトウェア開発者の生産性の測定方法に問題があるか(36%)、測定したくてもその方法がわからない(15%)と回答しています(図1)。
経営陣は、生成AIがソフトウェア開発チームに与える影響をどのように定義し、測定する必要があるのでしょうか。
まず、生成AIは、組織のワークフローに統合することで、(1)事業成果を向上させ、(2)戦略的な能力を構築し、(3)競争力を高めることができます。ソフトウェア開発チームにとって、この(1)~(3)のすべてが重要です。
生成AIがソフトウェア開発者やソフトウェア開発チームの生産性に与える影響を測定する方法を見つけることは、企業が生成AIの本来の価値を引き出し、生成AIを事業の成果に結び付けるためには必要不可欠なことなのです。
従来型測定方法の課題、生成AIの貢献度は把握しきれない
コードライン、コードコミット、タスクの完了といった従来型のソフトウェア開発チームの測定方法では、問題解決やチームワーク、イノベーションなど、ビジネスへの影響を評価する上で重要かつソフトウェア開発に不可欠な要素が見落とされがちです。
つまり、生成AIの貢献度を把握するには、単に時間やチームの動き、タスクを計測するだけでなく、ソフトウェア開発チーム内の生成AI利用率、収益、顧客満足度などといった具体的な事業成果につながるメトリクスも捉える必要があります。
その際、プロジェクトごとに成果が異なる場合があることにも注意が必要です。
そして、プロジェクト全体の完了時間を追跡し、開発パイプラインを継続して包括的に捉えることも大切なことです。これにはデプロイ頻度、変更までのリードタイム、サービス復旧時間のモニタリングが含まれ、プロジェクト効率の全体像を把握できます。
さらに、チームのメトリクスを評価することも大変重要でしょう。チームメンバーへのサポート、職場環境、仕事へのエンゲージメント、コラボレーションといった要素は、従業員の離職率や生産性に大きく影響を及ぼすからです。
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