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- 2024/12/11 掲載
Spotify公開のオープンソース開発者ポータル「Backstage」は何がいい?ガートナー解説
Spotifyが提供で話題「開発者ポータル」のメリットとは
DXの推進や事業のさらなる進化のために、企業におけるソフトウェア開発部門の重要性がますます増している現在。そうした中で、開発チームのソフトウェア開発の生産性や業務効率化を向上させるために注目されているのが、開発に必要なドキュメントやツールなどを体系化したポータルシステムである「開発者ポータル」だ。
開発者ポータルについて、店舗のショーウインドーを例として以下のように説明するのは、ガートナー ディスティングイッシュト バイス プレジデント, アナリストのゲイリー・オリーフ氏である。
「店舗のショーウィンドウでは、どんなサービスがあるのか、何が入手できるのか──手に取りやすい形で分かりやすく商品を並べておくことが大事です。開発者ポータルも同様で、開発者が使えるプロダクトを一覧にして見えるようにしておくべきです」(オリーフ氏)
オリーフ氏が開発者ポータルの一例として挙げるのが、Spotifyが2020年にオープンソースとして公開した「Backstage」だ。Backstageは非常に人気が高く、3000以上の組織で使われており、1500人以上のオープンソースコントリビューターがいるという。
ただ、Backstageに過度に期待することは禁物だ。オリーフ氏は「Backstageを導入すればすべて解決というものではありません。適切な開発者エクスペリエンスを提供するには、そこからさらに色々と付け加えていかないといけないことがあります」と説明する。
活用で意識するべき「4つの論点」
Backstageをはじめとする開発者ポータルをうまく活用するには、プラットフォームとの関係をきちんと把握しておくことも重要となる。オリーフ氏は、ガートナーが2023年10月に公表した調査「Microservices Architecture Delivery Platform」から下図を引用して両者の関係を説明する。
この図のように、開発インストラクチャやAPIゲートウェイ、マイクロサービス実行環境、アプリケーション・データ・サービス、モニタリング/可観測性ツールなどで構成されるプラットフォームの中で、開発者ポータルは、プラットフォーム内のコンポーネント間を統合して、どのソフトウェアサービスやツールが入手可能なのかを表示する役割を担う。
そのため、開発者ポータルは、プラットフォームを置き換えるものではなく、プラットフォームの主要な要素であることを理解すべきなのだ。
では、開発者ポータルを活用して、開発者エクスペリエンスを向上させるには、具体的にどんな視点が必要になるのだろうか。
オリーフ氏によると、注目するべきポイントとして以下の4点が挙がるという。
- 「開発者のインタラクション環境」
- 「開発者エクスペリエンスの自動化」
- 「構築か、購入か」
- 「人」
ここからは、それぞれについて詳しく見ていこう。 【次ページ】開発者ポータルは「投資されなすぎ」の領域?
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