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テスラやスペースXのCEOを務めるイーロン・マスク氏が新たなAI企業「xAI」を設立した。OpenAIやディープマインドから多数のAI人材を引き抜き、「宇宙の真実を解明する」汎用AI(AGI)の開発に乗り出すという。一方、ChatGPTを展開するOpenAIだけでなく、グーグル、ディープマインド、AnthropicなどもAI開発を加速している。
マスク氏が設立したAI企業「xAI」とは?
ChatGPTへの関心が加速度的に高まった2023年3月ごろ、イーロン・マスク氏がOpenAIに対抗するAI企業を設立したとの情報が報じられた。それ以降目立ったアップデートはなかったが遂にその全貌が明らかにされた。マスク氏が率いるAI企業「
xAI 」のWebサイトが公開され、AI開発の方針や開発チームに関する情報が公開されたのだ。
以下の動画ではこの記事の1ページ目をAIで1分にまとめて配信しています
VIDEO
同社の目標は、「宇宙の真実を理解すること(understand the true nature of the universe)」。AI開発チームメンバーは、ディープマインド、OpenAI、グーグルリサーチ、マイクロソフトリサーチ、テスラに在籍したAI研究者らであり、ディープマインドのAlphaStar、AlphaCode、OpenAIのGPT3.5やGPT4の開発プロジェクトに携わった経験を持っているという。
冒頭で触れたとおり、マスク氏が新たなAI会社を設立したとの情報が報じられたのは3~4月ごろ。当時の報道によると、新会社はネバダ州で
登記 されており、同社ディレクターにマスク氏、また同社セクレタリーとしてマスク氏のファミリーオフィス責任者であるジャレッド・バーチャル氏の名が記載されていた。またほぼ同じタイミングで、マスク氏がNVIDIAから数千~1万に上るAI開発用のGPUを購入したとの報道もなされていた。
新たに公開されたxAIのWebサイトでは、同社がX Corpから分離された独立企業であることが明記されている。X Corpは、マスク氏が保有するX Holdings Corpの完全子会社で、ツイッター社が統合された企業。今やXという名前はツイッターの名称変更で日本でもよく知られているだろう。
X Holdings CorpとX Corpに関しても、ネバダ州で登記されたとの
報道 があり、情報が錯綜し、X CorpとxAIが同一視されるケースが散見された。このため同Webサイトで、xAIとX Corpは異なる企業であることが強調されているようだ。xAIは、ミッションを実現するために今後X社(旧ツイッター)やテスラ社など他の企業とも連携する方針であると述べている。
目標は「宇宙の真実を解き明かす」汎用AI開発
xAIは、どのようなAIを開発する計画なのか。マスク氏はフォックスニュースのタッカー・カールソン氏との
インタビュー で、自身が計画しているAIのコンセプトについて語っている。
同インタビューの中でマスク氏は「真実の追求を最大化するAI、TruthGPTの開発を進める計画がある。このAIは、宇宙の本質を理解しようとするもの。宇宙を理解することに関心を持つAIは、私たち人類を抹殺する可能性が低く、安全性を確保する最善の手段と思われる。なぜなら、私たちは宇宙の一部であり、興味深い存在であるから」と説明していた。
またxAIの存在が公になった後、旧ツイッター・スペースで開催されたディスカッションでも、マスク氏は自身のAI構想について発言している。
このディスカッションでマスク氏は、安全な汎用人工知能(AGI)を開発し、宇宙を理解することが目標であると述べている。また「なぜ、宇宙人の存在を示す大規模なエビデンスがないのか」とも述べており、AIテクノロジーと宇宙を関連付ける
発言 が目立った。
Fortune によると、xAIの初期メンバーはマスク氏を含め12人おり、全員が何らかの業界バックグラウンドを持っている。その中でも特にアルファベット傘下のAI企業ディープマインドに在籍していたメンバーが多いという。
現在、AI業界では、AI技術が一部の企業に過度に集中していることが懸念されている。これについてxAIのメンバーの1人、元OpenAIのカイル・コジック氏は、xAIのような新興企業が市場参入することで、数社によるAI技術の独占リスクを軽減できると述べている。
【次ページ】老舗AI企業も生成AI開発を加速
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