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高度経済成長期以前に建設された橋など、公共インフラの老朽化が進んできた。このうち橋は全国に73万カ所あり、各地で補修工事が進められているが、危険と判断されて通行止めになるケースが増えている。管理しているのは大半が地方自治体で、今後10年で建設から50年以上を迎える「老朽橋」が倍増する見通し。釧路公立大経済学部の下山朗准教授(地方財政論)は「自治体が人口減少と財政難に苦しむ中、維持管理に必要な人口当たりのコスト増大が避けられず、順調に対処できるかどうかは不透明な状況」とみている。
京都、北海道など全国で相次ぐ身近な橋の通行止め
京都府京丹後市の中心部に架かる大門橋。長さ81メートル、幅4.5メートルで、市民にとって生活に欠かせない橋だが、2016年1月から通行止めが続いている。1969年の建設から50年近くが経ち、著しく老朽化して倒壊の危険があることが分かったからだ。
川の反対側へ渡るには約800メートル北にある別の橋を通らなければならない。京都府が現在、橋の取り壊し作業に入っており、夏までに仮橋を架ける計画。京都府丹後土木事務所は「仮橋の完成後、本格的な架け替えに着手したい」と説明した。
北海道北西部にある小平町では、豊浜橋が2015年8月から通行止めになったまま。長さ18.8メートル、幅1.7メートルの小さな橋で、近くを国道232号が通ることから、補修工事をしない方向だ。
小平町生活環境課は「住民への影響が比較的小さいので、このまま取り壊すことになる」としている。人口3,000人余りの小規模自治体にとって、橋の架け替えが重い負担になるからだろう。
香川県さぬき市の西代橋も2016年11月から通行止めが続く。長さ16.4メートル、幅3メートルで、1960年に開通した。開通から57年が過ぎたうえ、海に近い場所のため、鉄筋やコンクリートの劣化が著しい。
橋の近くに鶴羽地区の自治会館があり、住民の利用も多いが、さぬき市建設課は「架け替えなどの対応は未定。予算の問題もあり、これから検討する」と苦しい胸の内を打ち明けた。
建設後50年を経過した橋は2026年に44%まで増加
国土交通省のまとめによると、全国73万の橋のうち、2016年時点で建設後50年を経過した橋は全体の20%だが、10年後の2026年には44%に増加する見通し。橋の多くが高度成長期に相次いで建設されたからだ。しかも、全体の3分の1近い約23万は建設時期がはっきりしない。
このうち、高速道路や本四連絡道路が3%、国管理の国道が6%、都道府県管理の国道、都道府県道が20%を占め、残り70%以上が市町村管理になる。
橋脚や橋げたに重大な損傷が見つかり始めるのは、建設から50年程度が経過してからが多い。自治体が橋の通行規制をした例は2008年に977件しかなかったのに、2015年になると2,357件まで増えた。老朽化に伴い、今後もその数は増え続ける見込みだ。
国交省が2015年度に全国約14万の橋、1,800のトンネルを対象に実施した老朽化点検では、32道府県の141の橋と5県の6つのトンネルが緊急対策を必要とされた。早期対策が必要とされた施設も、1万4,489の橋と823のトンネルに上る。
国交省は2012年に山梨県大月市の中央自動車道・笹子トンネルで発生した天井板落下事故を受け、橋や道路、トンネルの点検を5年に1度実施するよう指導している。しかし、自治体のうち町の3割、村の6割に橋の保全を担当できる技術者がいない。
国交省国道・防災課は「都道府県ごとに設けたメンテナンス会議を通じ、個別にアドバイスしている」というが、遠くからの目視だけで点検を済ます自治体もあり、十分な対応をできていないのが実情だ。
地方の自治体は人口減少に伴う財政難が深刻さを増している。このため、早めに架け替えで対応することができず、橋の通行止めに陥る例が全国で急増してきた。
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